No.828

2024.02.20

使い道がクリアなクラウドファンディング型ふるさと納税サイト

ふるさと納税 for Good!

ふるさと_top

概要

「ふるさと納税 for Good!」とは、寄付の具体的な使い道が見えて選べる、クラウドファンディング型ふるさと納税ポータルサイト。「子ども・教育」「自然と環境」「食と農業」「まちづくり」などの地域課題をテーマにしたプロジェクトで、寄付金の使途を明確にし、自分の意思で生まれ故郷や応援したい地域に納税する、本来の目的・意義が感じられるサイトを構築している。寄付後にプロジェクト実行者と寄付者が直接つながれる仕組みもある。返礼品重視の従来のふるさと納税ではなく、返礼品を受け取りながら課題解決に貢献し、地域と直接関わり合いが持てるサイトとして展開している。地域への関心・課題の認知度を高めて解決につなげ、本来的な地域貢献と経済循環を促すと期待されている。

ふるさと_sub1

ふるさと_sub3

なにがすごいのか?

  • 寄付の使途を明確にしてふるさと納税の本来目的・意義を発揮

  • 地域の課題解決につながる取り組みを支援しながら、返礼品も受け取れる

  • 寄付後もプロジェクト実行者と寄付者をつなぎ地域との関係性を継続

なぜ生まれたのか?

ふるさと納税制度は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として2008年5月から開始した。以来、ふるさと納税ポータルサイトや利用者の数は年々増えているが、返礼品重視の傾向にあり、本来の目的であった「ふるさとや地域を応援する」意義が薄らいできている。世界13カ国で社会課題を解決する事業を展開しているボーダレス・ジャパンは、そうしたふるさと納税の課題に着目した。

課題分析にあたっては、ふるさと納税を利用しない理由をアンケート調査し、「ふるさと納税の意義がわからない」「応援したいと思える地域が特にない」「手続きがよくわからない・面倒くさい」などの回答を入手。手続き面などのハードルを超えるような、ふるさと納税の目的・意義が伝わる仕組みが必要と考え、「ふるさと納税 for Good!」を構築した。2023年11月より運営を開始し、当初から15の自治体と連携してプロジェクトを展開。連携自治体や寄付者を拡げており、2024年1月には累計寄付額が1,000万円を超えた。

実現事例 実現プロジェクト

ふるさと_Jtop

地球と共生する綾町、有機給食で守る未来

「地球と共生する綾町、有機給食で守る未来」は、子ども達に地元の農産物を使った給食を提供しながら、自然を守る仕組みづくりを行う宮崎県綾町のプロジェクト。綾町では、自然との共生をテーマにまちづくりを行っており、原生林を守る取り組みの1つとして、有機農業を推進している。その中で、有機農業で生産した農産物を学校給食に用いる取り組みがあり、2023年には「オーガニック給食推進条例」を制定したが、地元の学校給食での有機農産物の利用割合は約5割に留まっている。利用を増やすため、有機農家の数を増やす必要があるということからプロジェクトを展開している。

プロジェクトで集まった資金は、オーガニック給食の提供に関する費用(食材購入費・配送費・調理費など)と、綾町が立ち上げた体系的に有機農業を学べる「綾オーガニックスクール」の運営費用(生産資材費・施設整備費・未利用土地の活用など)で使われる。

なぜできるのか?

地域の課題解決をサポートする知見・ノウハウ

ボーダレス・ジャパンは世界13カ国で48に及ぶ社会課題を解決する事業を手がけており、クラウドファンディングの知見も持つ。そうした実績・ノウハウをベースに、各自治体の地域課題の抽出から、応援する社会起業家の募集・選定、クラウドファンディングの企画・プロモーション・運営までをサポート。現場と共に課題を明確化して具体的な寄付内容に落とし込み、使途がクリアなふるさと納税を可能にしている。その中で、現場での課題意識や解決へ取り組む姿勢の醸成にもつなげている。

返礼品からも納税先を選べる仕組み

納税先は、地域課題のテーマからだけでなく、応援する地域、返礼品から選択できる。プロジェクトにはいずれも返礼品を用意。ふるさと納税の良さは、寄付でありながら自分にもメリットがあることと捉え、その良さを活かした仕組みを構築している。地域課題を解決する共通目的に向け、プロジェクト実行者と寄付者の双方にメリットを提供することで、新たな関係人口の創出につなげることを目指している。

寄付後もつながれるチャット機能

専用のLINEオープンチャットで、寄付後もプロジェクト実行者と寄付者が直接つながれるプラットフォームを提供している。オープンチャットでは、プロジェクト進捗状況や、地域にどう貢献したかなどの情報を配信。実行者は、寄付者に対してA/Bテストの協力を要請する、意見を募るなどでプロジェクト参加を促すこともできる。寄付をして終わりにならない、継続的な関係性を築ける仕組みにしている。

企業版ふるさと納税にも対応

国が認定した地方公共団体の地方創生事業に、企業が寄付した場合に法人税控除が受けられる「企業版ふるさと納税」も利用できる。寄付による控除を受けながら、SDGsの実現にも寄与するような地域貢献ができ、地方自治体との関係性もつくる仕組みとして提供している。寄付をきっかけに、新しい事業・プロジェクトの展開にもつながる。

相性のいい産業分野

官公庁・自治体

地域内外の人と連携し、地域課題を解決する方法として活用

生活・文化

寄付先が選べて、社会貢献度合いが見えるふるさと納税の利用

教育・人材

地域課題を解決するプレイヤーを地域内外から獲得

金融・保険

社会課題と取り組みに対する認知度を高めながら、活動資金を調達

製造業・メーカー

地域貢献・まちづくりなど、SDGsを実現する施策として展開

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

Top Image : © 株式会社 ボーダレス・ジャパン