No.970

2024.12.10

視覚障がい者も楽しめる協力型のインクルーシブボードゲーム

グラマ

グラマ

概要

「グラマ」とは、重さの感覚とコミュニケーションのみで楽しむ協力型のボードゲーム。プレイヤーの触感と表現力が鍵となるため、視覚障がい者でもゲームに参加できる。本ゲームでは、おもりが入った巾着袋を配られた4人のプレイヤーが、「お題」に沿ってそれぞれの巾着袋の重さを伝え合い、全員の巾着袋の重さが均等になるようおもりの数を調整し、全員の袋を同じ重さにしていくことを目指す。コミュニケーションを通してプレイヤー同士の交流を深めるインクルーシブなボードゲームとして期待されている。

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なにがすごいのか?

  • 視覚障がい者も晴眼者同様に楽しさを共有できるインクルーシブなゲーム性

  • 成功や失敗を共有し、お互いの共感性を養う「協力型」ゲーム

  • 「お題」に沿ったコミュニケーションによるプレイヤー同士の相互理解の促進

なぜ生まれたのか?

Blined Project代表の浅見幸佑氏は、大学で受けた福祉関係の講義をきっかけに、視覚障がい者と晴眼者の日常が大きく異なることや、視覚障がい者と晴眼者が楽しく遊べるコンテンツが不足していることに気づき、視覚障害がある人もない人も一緒に楽しめるゲームを制作。視覚障がい者とゲームを遊び、同じ感情を共有する中で、距離感が一気に縮まったような感覚を覚えたという。

その後、同氏は、「楽しさの垣根のない世界の実現」をビジョンにBlined Projectを設立し、NPO法人みのりや、中野区視覚障害者協会、八王子視覚障害者福祉協会へのヒアリングを通して、「グラマ」を開発。視覚障がい関連団体や施設へのボードゲームの配布やイベント開催を目的としたクラウドファンディングでは、目標金額を大幅に超える112万円を達成した。

なぜできるのか?

インクルーシブなゲーム設計

「グラマ」では、プレイヤー自身の触覚の確かさと表現力のみがゲームの条件となる。そのため、将棋やオセロといった他のボードゲームとは異なり、視覚障がい者やロービジョン者もプレイヤーとして参加できる。

音を介した体験の共有

おもりの調整後、4人のプレイヤーは天秤に袋を乗せて袋の重さが均等かどうかを確かめるが、「失敗」の場合は天秤が崩れ、ガシャン、という音が鳴り響く。音によってゲームが「成功」か「失敗」かを判断できるため、晴眼者も視覚障がい者も同じ体験をリアルタイムで共有できる。

プレイヤー同士の相互理解を促す「お題」

おもりの重さを例える「お題」には、「文房具の重さ」などの具体的なものだけでなく、「緊張の度合い」や「爽快感の度合い」といった個人の価値観に裏打ちされた抽象的なものも含まれる。プレイヤーは、個人の価値観に則って「お題」に答えることで、お互いの相互理解を深められる。

相性のいい産業分野

生活・文化

ワークショップに導入し視覚障がい者と晴眼者の交流を促進

医療・福祉

視覚障がい者のガイドヘルパー研修講座に導入

スポーツ

視覚障がい者と晴眼者がチームで参加できる「グラマ」の大会

アート・エンターテインメント

世界中の仲間と絆を深められる「グラマ」のオンラインゲームアプリ

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Blined Project