No.820
2023.12.18
暮らしの不便を解決する、自動運転で動く収納家具
カチャカ
概要
「カチャカ」とは自動運転にも使われる技術を搭載したロボット(カチャカ)が、専用の棚(カチャカファニチャー)を音声指示に応じて運ぶロボット家具。指示に応じて自動で運んでくれるため、使用者はカチャカファニチャーに物を入れるだけでよく、料理をしながら配膳したり、リモート会議中に必要な道具を届けたりなど、マルチタスクも効率よくこなせる。また、自由にプログラミングを組んで動かしたり、外部サービスとの連携したりもでき、自分流にアレンジして使用することも可能。単純な利便性はもとより、家具という生活に根付いた製品にロボティクスが加わることで、より一層居住空間の心地よさの選択肢が広がることが期待されている。
なぜ生まれたのか?
もともと同社は2018年にモノを認識してつかむ、置く、動作計画を立てる、人の指示に対応するという機能を持った「全自動お片付けロボットシステム」を発表していた。しかしそもそもなぜ部屋が散らかるかという事を考えると、忙しいときについつい使ったものを元に戻さないなど、必ず人の手が介在している。そのようなときに必ず手元に来てくれる気の利いたアシスタントのような存在があれば優れたソリューションになると考え、カチャカが生まれた。
なぜできるのか?
3種類のセンサー情報を統合したナビゲーション技術
FSS(Free Space Segmentation)、LiDAR、ToFという3種類のセンサー情報を統合したナビゲーション技術を実装。深層学習も活用することで、ピクセル単位で障害物を特定、床面の障害物にぶつからずスムーズに移動することが可能。
独自のグラフベースSLAM技術で、環境が変化しても自己位置を推定
LiDARによる点群情報とカメラによるRGB情報を組み合わせたSLAMと呼ばれる自己位置特定と、マップ作成を同時に実現するシステムを搭載。マップ作成の際に要所要所で画像の特徴も保存しており、もしマップ上の自己位置を見失っても、今いる場所から見える画像を照合することで位置を推定し直すことができる。
計算負荷への工夫
過度な計算負荷がかからないように、タスク処理をフロントエンドとバックエンドに分けている。継続的に行っている自己位置の推定はフロントエンド(高頻度、およそ9Hz)で、比較的負荷がかかる自己位置を見失ったときの推定のやり直しやマップの修正は、バックエンド(低頻度、およそ0.3Hz)で行っている。
雑音、生活音に負けず指示を聞き分け
ニューラルネットワークによる学習を行うことで、雑音を低減して人の声を認識できる。カチャカ自身のモーターやLiDARが出す雑音をあらかじめ収録し、この雑音をニューラルネットワークによる学習で取り除くことで、距離が離れてもマイクに入る人の声を精度高く認識する。
高い性能とスタイリッシュさを両立したデザイン
カチャカと家具のドッキング用の突起は、ドッキング時にカチャカ本体から部品が出てくる仕組みを採用。通常は凹凸のないなめらかな見た目をしている。また、地図作成や距離計測に使うセンサー(LiDAR)が目立たないようカバーで覆い機体への収め方も工夫し、生活の中にも自然と溶け込むデザインとなっている。
相性のいい産業分野
- 住宅・不動産・建築
音声指示や「カチャカ」の位置変化に基づき自動で元の位置に戻るスマート家具
- 生活・文化
スマートフォンのライフログと連動し、生活スタイルに合わせて飲料やサプリメントを持って来るスマート収納ロボ
- 医療・福祉
手術で執刀医の指示に応じて医療機器を持ち運ぶ、自律移動式のスマートトレイ
- IT・通信
備品ストックの残量の問いに答えられる、コミュニケーション力のあるスマート収納棚
- アート・エンターテインメント
ライブ演出機材を乗せた「カチャカ」が縦横無尽に会場を動き回り、照明演出するライブパフォーマンス
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 Preferred Robotics