No.982

2024.12.11

キノコの菌糸体から作る、環境にやさしい生えるおもちゃ

MYMORI

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概要

「MYMORI」は、きのこの菌糸体からつくるブロックで子どもが自由に遊べるおもちゃキット。家庭で育てるきのこの菌糸体を素材にし、きのこを育て、型にはめることでブロックをつくり、自由に遊ぶことができる。自然の香りを感じたり、上手に育てられた時の喜びや愛着が感じられ、自分なりの楽しみ方を発見できる未知の体験を提供するおもちゃとしてつくられている。最終的には土へと還すことができ、素材自体への愛着を育むことで、能動的なものづくりを促進するとともに、バイオ素材の育成や活用のプロセスを、おもちゃとして遊ぶことによって目に触れさせる取り組み。

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なにがすごいのか?

  • 育てて遊び循環させる、一連の体験のデザイン

  • 最終的には土へと還すことができる、サステナブルなプロダクト

  • バイオ素材を、単なるプラスチック素材の代替品としない、素材としての可能性の捉え方

なぜ生まれたのか?

バイオ素材であるきのこの菌糸体は、優れた耐熱性や軽さなどの特性があり、プラスチックの代替品として注目されることが多い。武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の項雅文氏は、菌糸体に対し、単なるプラスチックの代替としてではない、新しいものづくりの素材としての可能性を感じ、活用を思案。手触りもいい菌糸体を、素材自体に愛着を持ってもらうためにおもちゃというアウトプットに展開し、「MYMORY」の開発に至った。

単なる代替素材としてのバイオ素材の捉え方ではなく、生き物を育てる喜び・上手にものづくりを楽しむ生活様式に導く本知財は、日本デザイン振興会主催の 「2023年度 グッドデザイン・ニューホープ賞」で最優秀賞を受賞している。

なぜできるのか?

子どもの能動的なものづくり体験

きのこの菌糸体でつくる「MYMORI」は、家庭で簡単に制作できる。キットが届いてから、菌糸ブロックを砕き、型に入れて栽培、4〜5日後に収穫して最終的に遊ぶまで、家庭で素材自体へ愛着を持ちながら能動的にものづくり体験ができる。

触覚と嗅覚で楽しむ、生えるおもちゃ

バイオ素材の「MYMORI」は、菌糸体のざらざらとした感触と森の香りが特徴で、遊びながら自然素材の手触りと香りが楽しめる。 キノコの菌糸体を生やして固めることで、自分で様々な形状のブロックをつくって遊ぶ。

バイオ素材の循環の仕組みまでデザイン

「MYMORI」は、自由に遊んだ後は土に還すことができる。バイオ素材を身近に感じながら、バイオ素材の可能性を学ぶことができる。プラスチックの代替品として注目されるバイオ素材だが、単なるプラスチックの代替としてではなく、育てる喜びや素材の持つ香りや手触りから愛着を感じ、バイオ素材の魅力に気づいてもらうために、おもちゃというアプトプットの形を取っている。

相性のいい産業分野

生活・文化

一緒に菌糸体を育て、ブロック作りを楽しむ親子の時間を提供

資源・マテリアル

サステナビリティや循環型社会の重要性を伝える教材として使用

教育・人材

きのこの育成プロセスを学ぶ教材として使用し、生物の成長や自然循環について学ぶ理科教材

官公庁・自治体

地域イベントや施設で、菌糸体ブロック作りのクラフトワークショップ

医療・福祉

高齢者施設での手軽な創作活動やリハビリプログラムに活用

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 公益財団法人 日本デザイン振興会