No.891
2024.08.09
能登半島地震から生まれた、2つの酒蔵の"コラボレーション日本酒"
名前のない日本酒
概要
「名前のない日本酒」とは、能登半島地震をきっかけに生まれた、2つの酒蔵"による"コラボレーション日本酒"。地震の被害が比較的少なかった東酒造(小松市)が、仕込み済みの蔵で、地震の被害を大きく受けた中島酒造店(輪島市)の仕込みを受け入れることで誕生した。なお、仕込みは、従来はライバル同士だった両酒造の杜氏同志の協力により実施。能登半島地震の復興の一助となるとともに、能登半島の酒造りの伝統の新たな歴史を拓く日本酒として期待される。
なにがすごいのか?
ライバル酒造が手を組んだコラボレーション
お互いの酒造のよさを活かした新たな酒づくり
なぜ生まれたのか?
「能登末廣」の銘柄で知られる輪島市鳳至町の中島酒造店は、能登半島最小規模の蔵元として、「100石酒蔵」の愛称で地元に愛されてきた。しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震で母屋と一部の蔵が全壊。仕込み用の酒米の一部が救出されたものの、再建の目処は立っていない。
一方、予定通り仕込みを終えていた東酒造では、社長の東祐輔氏が、被害が大きかった珠洲市の出身である杜氏の二見秀正氏から中島酒造の災害状況を聞き、中島酒造店に蔵を貸し出すことになった。
なぜできるのか?
高い専門性を持つ「能登杜氏」
米どころとして知られる石川県は、古来より高い専門性を有する「能登杜氏」と呼ばれる職人を多数輩出してきた。「名前のない日本酒」は、こういった酒づくりが盛んな石川県の土壌で生産されている。
両酒造の個性を活かした酒づくり
中島酒造店では、「能登末廣」など、さまざまな酵母のブレンドを行うことで香り高さを追求。一方、東酒造では、「神泉」など、地元の米や酵母を使って華やかな香りよりも旨みや酸味のバランスを重視した日本酒を作ってきた。「名前のない日本酒」では、両酒造が得意とする酵母を融合することで、両酒造の個性が出た味わいを実現した。
プロジェクトの新しさを反映した斬新なデザイン
「名前のない日本酒」では、中島酒造店の「能登末廣」でも東酒造の「神泉」でもない新しい日本酒であることを示すため、真っ白なラベルが添付。これにより、プロジェクトの斬新さを表現している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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Top Image : © 東酒造 株式会社