No.963
2024.12.05
“捨てない社会”をかなえる資源循環インフラ
PASSTO
概要
「PASSTO(パスト)」とは、使わなくなったモノを次に使いたい人につなぐ資源循環インフラ。商業施設・オフィスなどの生活圏内に、BOX型の循環ステーションを設置するなどして衣類やおもちゃなどを回収し、独自基準で選別を行って再流通させる。焼却処理の多い日本では、廃棄物リサイクル率が世界的に見て低く約20%に留まっているが(令和4年度、環境省調査)、国内外に100を超える再流通ネットワークを構築して、約98%のリユース・リサイクル率を実現している。気軽に使える循環ステーションの提供で、リユース・リサイクルを身近な存在にして、「捨てない社会をかなえる」と期待されている。
なぜできるのか?
生活拠点への循環ステーションの設置
「PASSTO」のスキーム等を活用したECOMMITの回収拠点は全国3,500カ所超。身近なインフラにすることを目指し、ショッピングモール・ホームセンター・アパレルショップ・郵便局・駅施設・レジデンスなど、生活拠点に循環ステーションを設置。利用者は暮らしの中で、使わなくなったモノをBOXに投函するか協力店に持ち込むだけで、「パスト(捨てずに次の人に渡す行為)」できる。対象アイテムは、衣類、バッグやキャップなどのファッション雑貨、ゲーム・ぬいぐるみなどのホビー用品(2024年10月時点)。一部拠点では、「パストする」ことで地域・コミュニティポイントを付与するサービスも展開している。
資源回収する仕組みの構築
効率的な資源回収ルートを構築しており、年間の回収総量は約12,000トンに及ぶ。回収にあたっては、拠点ごと・回収日ごと・アイテムごとなどで回収状況をデータ登録。選別を経て、各アイテムがどのように循環したかといった実際の流れを把握できる、資源のトレーサビリティを実現している。また、可視化データは、「トレーサビリティレポート」として「PASSTO」設置拠点の事業者に提供。企業のサステナビリティへの取り組みも後押しする。
価値を見出す独自基準の選別
プロピッカーと呼ばれる専門スタッフの手で回収アイテムを選別。「これはここで人気がありそう」など、不用品に価値を見出して再流通させている。選別は全国7箇所のサーキュラーセンターで行い、季節・トレンド・再流通先のニーズなどを踏まえて、全10カテゴリ・合計123種の品目に細かく選別。「『本当に欲しい人』に届ける」をコンセプトに、プロピッカーの目利きと販売管理によるマッチング力で、100を超える国内外のパートナーに必要なモノを必要な量だけ連携する。また、定期的なコミュニケーションやモニタリングを行って、再流通先でゴミにしないような仕組みも構築。資金調達を経て今後は、人でしか選別できないものを除き、資源を自動選別するシステムの導入も予定している。
リユースできないアイテムのリサイクル
リユースが難しいアイテムは再生素材としてリサイクルしている。環境負荷の低い「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」をメインとし、焼却が伴う「サーマルリカバリー」を極力回避。「マテリアルリサイクル」では、複数素材が混ざった製品はフェルトなどに変えて、シートクッション・吸音材・断熱材などに再生。ウールは、パートナーで繊維素材事業を手がける三星毛糸の技術を用いて再生ウール「ReBirth WOOL」に変換し、綿100%の製品は、機械の油・汚れ・不純物などを拭きとる布・工業用ウエスとして活用する。「ケミカルリサイクル」では、伊藤忠商事のリサイクルプロジェクト「RENU」と連携。使用済みペットボトルを用いる従来の再生ポリエステルではなく、古着や端切れなどを原料にしたリサイクルポリエステル繊維に再生している。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
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