No. 082 人と水生生物の共生を見据え誕生した生態系

人工サンゴ礁

©︎イノカ

人工サンゴ礁は、人工的に再現されたサンゴ礁の生態系。海洋生態系を構築する能力を持つアクアリストのノウハウとIoT・AI技術の組み合わせによって、自然に限りなく近い環境「人工生態系」を構築。2020年5月には、その内部でのサンゴの人工抱卵を実現させた。現在は、世界初の産卵時期をコントロールした完全閉鎖環境での人工産卵成功を目指して研究を進めている。将来的には、任意の海洋環境を別所に再現する「環境移送技術」の確立により、生態系研究を加速させることも期待される。

株式会社イノカは環境教育にも力を入れている。要注目の体験型環境教育プログラム「よこはまサンゴ礁ラボ」は、2020年9月-21年3月に開校した。21年5月頃からも開催予定。

妄想プロジェクト

地球生態コロニー・タワー

人工サンゴ礁の環境移送技術が発展すれば、海から遠く離れた場所に海洋生態系を再現した超巨大水槽の共生未来都市ができるかもしれない。タワー型の水槽は階層ごとにレイヤーが分かれ、人間の居住空間やトラムがある「海との共生ゾーン」や、多様な生物が自由に泳ぐ「世界の海ゾーン」、絶滅した古代の海を再現した「原始生物ゾーン」から貴重な水環境を保存する「研究施設ゾーン」までがある。時空と生態を超えて、水生生物と人を含む地上生物の関係性がシームレスが交わった、未来型の共生空間ができるだろう。


妄想家: 荒井亮 妄想画家: 吉田祐樹

なぜできるのか?

人工生態系の構築

IoT技術を使ってLEDライト、プロテインスキマー(泡によってタンパク質を除去するろ過装置)、水流ポンプなどを制御し、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係など、生態系に関わる種々のパラメータのバランスを取る。これにより、水温を沖縄の久米島付近の海面水温と同期させた完全閉鎖環境を再現し、その内部でのサンゴの人工抱卵に成功した。

相性のいい分野

ウェルビーイング
自宅で育成を楽しむ「暮らしの中のサンゴ礁」
教育
汚れた海をどのくらい浄化できたか、といった海洋生態系への介入効果を可視化するミニチュア教材「エコシステム実験キット」
家電
家やオフィスの水を浄化する「自然派浄水器」
フード
昔の海を再現し食材として頂く「時空を超える江戸前寿司」
アート
手のひらサイズの地球儀「手のひらの上のマリンブルー」
科学技術
現状では沖縄の大学に依頼して機材を使用している他大学の研究者が、自前の機材で沖縄の海洋環境を再現、科学研究を促進

知財情報

主な知財ホルダー:株式会社イノカ / Innoqua Inc.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

出村 光世 Mitsuyo Demura
Producer / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。アート/プロダクト/マーケティングなど領域に縛られずにさまざまなプロジェクトを推進。プロトタイピングに特化した「日本橋地下実験場」を拠点に制作活動を行い、国内外のエキシビションにて作品を発表している。自然現象とバイオテクノロジーに高い関心がある。


知財ライティング: 小髙充弘