LiDAR(ライダー)

LiDAR(Light Detection and Ranging)は光を利用した検知・測距技術。対象物に向けてパルス状に放ったレーザー光線の散乱や反射から対象物を検知することで「点群データ」と呼ばれる三次元の測量データを取得する。さらにGPSによって計測される位置や時刻を組み合わせてデータ・ビジュアライゼーションを行うことで、対象物までの距離を測るだけでなく、その形状や向きといった性質を分析したりすることができる。
なにがすごいのか?
- 非常に短い波長の光レーザーによる対象物検知と測距
- 微小粒子や海底の地形など、様々な対象物を遠距離から測量可能
- 小型軽量型LiDARは自動車やドローンなどに搭載可能
なぜ生まれたのか?
地形や建造物、森林の構造を測量する際、従来の地上や上空を移動しながら計測する手段では多大な時間と労力がかかっていた。この問題を解決すべく、1990年代より人工衛星や航空機からLiDARを用いた測量が普及したことで、LiDARを車両へ応用しようとする試みも活発化し、自動車関連の特許出願件数が増加していった。
こうして2020年現在、LiDAR業界には各国大手総合部品メーカーや新規参入してきた多くのスタートアップ企業がひしめき合っている。特許出願数で主要なプレイヤーであるデンソーはトヨタ自動車をはじめとした世界各国の自動車メーカーのサプライヤーになることを目指し、GoogleからスピンアウトしたAlphabet傘下のWaymoは、ロボットやセキュリティなど他分野への波及を視野に自動運転技術の開発に取り組んでいる。こういった激しい開発競争の中で業界をリードするのが、他社が本腰を入れるより前の1980年代よりLiDARの研究開発に取り組んでいたVelodyne Lidar, Incであり、カリフォルニア州サンノゼに設立された巨大なLiDAR製造工場によって、競合他社を遥かに上回る生産キャパシティを持つことが特徴。今後も自動運転の普及に伴い、LiDARの市場規模は拡大していくと推測されている。