No. 171 人間の手を借りず自ら進化するAI

AutoML-Zero(オートエムエル・ゼロ)

AutoML(Automated Machine Learning)-Zeroは、高校生が知っているような基本的な数学だけを使い、人間からの入力は実質ゼロで機械学習モデルの自動生成を行うシステム。ランダムな初期プログラムまたは白紙の状態から生成するため、人間による先入観を排除し、設計の負担を減少・効率化させることができる。将来的には、数理演算の種類を増やし、計算リソースをプログラムに割り当てることで、人間の思いつかないような高度で斬新な学習アルゴリズムを生成しうると期待されている。

なにがすごいのか?

  • 人間の介在によるバイアスを限りなく減らした、モデル設計・構築の自動化システム
  • 高校数学レベルの基本的な数理演算だけで学習アルゴリズムを記述
  • 適者生存などのダーウィン進化論を借用した新規手法

なぜ生まれたのか?

Googleは長年、機械学習の知識を持たない初心者が学習モデルを実装できるシステム(AutoML)の開発に力を注いできた。AutoMLは、データ前処理・モデル検証などのプロセスや、最適な学習アルゴリズムの構築を自動化できるが、アルゴリズム構築のいくつかの場面では例外的に専門家の知識が必要であったり、モデルの探索空間が限定されたりする問題があり、これらが初心者にとって大きな壁となっていた。スタンフォード大学のLe氏率いるGoogleのエンジニアチームは、探索空間における人間の介在バイアスに引っ張られない新しいフレームワークを導入することで、これらの課題の解決を試みた。

Le氏らは、この新規提案手法によって、ランダム探索よりも効果的なアルゴリズムの発見に成功した。

なぜできるのか?

進化的アルゴリズム

高校数学レベルの簡単な変換の最適な組み合わせを進化的アルゴリズムで探索させる。進化的アルゴリズムは、次のようなアルゴリズムである。
1. 緩い近似を利用して初期アルゴリズムを構築し、数理演算をランダムに組み合わせることで、100個の候補アルゴリズムの母集団を生成する。
2. これらのアルゴリズムに画像認識の簡単なタスク(画像に猫が写っているかトラックが写っているかの判定など)を解かせ、性能の良いトップパフォーマーと、その一部を置換・編集・削除した突然変異アルゴリズムを保存し、それ以外のものを削除する。
3. 保存したものを新しい母集団に加え、同じ処理を最適なアルゴリズムに到達するまで繰り返す。
ここで、システムは母集団を一度に何千も作成し、1秒間に何万ものアルゴリズムを処理する。これにより、人の介在によるバイアスを減らすことができ、バックプロパゲーションによって訓練されたニューラルネットワークを発見することも可能となる。

相性のいい分野

ヘルスケア
機械学習やプログラミングの知識に疎い医師でも、エンジニアに外注することなく、個人情報保護の観点から機密性の高い検査画像データを使って自前の診断システムを気軽に構築
アパレル
服のデザインや色や柄、ディテールといったバリエーションを画像から自動的に取得させることで分類し、管理や新たなデザイン創作へ活用
オンラインコマース
ストアの訪問者が特定の商品名を検索した場合、タグ付けされた商品だけでなくAIが予測した該当商品を検索

知財情報

主な知財ホルダー:Real E., Liang C., So D.R. and Le Q.V.

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。