No. 192 好みの味を自由に再現する味覚シンセサイザー

Norimaki Synthesizer

Norimaki Synthesizerは、海苔巻きのような形状の装置を舌の先端に当て、シンセサイザーのように好きな味を自由に再現する“味覚版ディスプレイ”である。テレビの映像表示に使われている「赤緑青」の組み合わせで色を表現するRGBのように、ベースになる5つの味を組み合わせることで様々な味覚を再現することが可能。飲食を伴わない味覚再現ツールとして応用が期待されている。

妄想プロジェクト

味覚を感じる4D映画

4D映画と聞くと、3Dの映像に水・光・香り・動きなどの演出効果を加えたものがイメージされるはずだが、“味覚”が4つ目の要素になったらどうだろう?

「味覚を感じる4D映画」では、観客が「Norimaki Synthesizer」の技術を応用したストロー状のデバイスを口に加え、映画のシーンに合わせてさまざまな味の疑似体験ができる。
高級レストランでのフルコースの味や、青春映画の甘酸っぱいキスの味、はたまたアクション映画で殴られた時の血の味まで・・・映画の主人公になりきって、その世界に没頭できるのではないだろうか。
映像表現の可能性を大きく広げる演出方法として、実現を願いたい。


妄想家: ジョン・ギュジョン 妄想画家: 澤田麻由子

なぜできるのか?

装置構成

装置は、5つの味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を感じさせる電解質をそれぞれ溶解し、チューブに入れて寒天で固めた“ゲル”を束ねて円柱型に組み立てられている。組み立てた装置に銅箔を巻き、その部分を手で握り舌に当てると、人とデバイスによる電気回路を形成する仕組みとなっている。

電気泳動

電気回路に電圧をかけてゲル内部のイオンを移動(電気泳動)させることで、舌に当たるイオンの量を制御して味を変化させている。それぞれの味の割合をコントローラーで個別に調整することにより、任意の味を生成することが可能である。

相性のいい分野

医療・介護
持病などにより食事制限が必要な患者に対し、食事の楽しみを擬似的に提供
SNS
フード系のSNS投稿から味も体感することができる「SNSへの味ポスト機能」
食育
図書館に行くように、食材なくして味体験できる食育施設「味覚ライブラリ」
フード
新メニュー開発に際した味のプロトタイピング
フード
口にすることのできなかった物を味わう体験(溶岩や毒、さらには食物アレルギーで食べられないアレルゲンの味を味わう)
フード
注文するより事前にメニューの品を味見できる「テイスティング・メニュー」
フード
VAQSO VR(嗅覚のVR)と組み合わせることで味と風味を再現「武士御膳(戦国時代の食事再現)」
フード
高級レストランの味を近くの駄菓子屋で楽しめる「未来キャンディー」
ウェルビーイング
もう一度食べたい思い出の味(過去の味覚)を再体験
音楽
味が歌のコードやリリック(「甘酸っぱいバイブス」など)と連動する音楽
データ・ビジュアライゼーション
好みの味覚を視覚化し、チャート別に最適な味をレコメンデーションするツール
エンターテインメント
即興のように様々な味を演奏し、これまで味わったことのない味覚を創出

知財情報

主な知財ホルダー:Homei Miyashita (Meiji University)

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 松崎啓