No.192
2020.08.27
好みの味を自由に再現する味覚シンセサイザー
Norimaki Synthesizer(のりまきシンセサイザー)
概要
Norimaki Synthesizerは、海苔巻きのような形状の装置を舌の先端に当て、シンセサイザーのように好きな味を自由に再現する“味覚版ディスプレイ”である。テレビの映像表示に使われている「赤緑青」の組み合わせで色を表現するRGBのように、ベースになる5つの味を組み合わせることで様々な味覚を再現することが可能。飲食を伴わない味覚再現ツールとして応用が期待されている。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
味覚を感じる4D映画
4D映画と聞くと、3Dの映像に水・光・香り・動きなどの演出効果を加えたものがイメージされるはずだが、“味覚”が4つ目の要素になったらどうだろう?
「味覚を感じる4D映画」では、観客が「Norimaki Synthesizer」の技術を応用したストロー状のデバイスを口に加え、映画のシーンに合わせてさまざまな味の疑似体験ができる。
高級レストランでのフルコースの味や、青春映画の甘酸っぱいキスの味、はたまたアクション映画で殴られた時の血の味まで・・・映画の主人公になりきって、その世界に没頭できるのではないだろうか。
映像表現の可能性を大きく広げる演出方法として、実現を願いたい。
なぜできるのか?
装置構成
装置は、5つの味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を感じさせる電解質をそれぞれ溶解し、チューブに入れて寒天で固めた“ゲル”を束ねて円柱型に組み立てられている。組み立てた装置に銅箔を巻き、その部分を手で握り舌に当てると、人とデバイスによる電気回路を形成する仕組みとなっている。
電気泳動
電気回路に電圧をかけてゲル内部のイオンを移動(電気泳動)させることで、舌に当たるイオンの量を制御して味を変化させている。それぞれの味の割合をコントローラーで個別に調整することにより、任意の味を生成することが可能である。
相性のいい産業分野
- 医療・福祉
持病などにより食事制限が必要な患者に対し、食事の楽しみを擬似的に提供
- アート・エンターテインメント
フード系のSNS投稿から味も体感することができる「SNSへの味ポスト機能」
口にすることのできなかった物を味わう体験(溶岩や毒、さらには食物アレルギーで食べられないアレルゲンの味を味わう)
VAQSO VR(嗅覚のVR)と組み合わせることで味と風味を再現「武士御膳(戦国時代の食事再現)」
もう一度食べたい思い出の味(過去の味覚)を再体験
味が歌のコードやリリック(「甘酸っぱいバイブス」など)と連動する音楽
即興のように様々な味を演奏し、これまで味わったことのない味覚を創出
- 教育・人材
図書館に行くように、食材なくして味体験できる食育施設「味覚ライブラリ」
- 食品・飲料
新メニュー開発に際した味のプロトタイピング
高級レストランの味を近くの駄菓子屋で楽しめる「未来キャンディー」
好みの味覚を視覚化し、チャート別に最適な味をレコメンデーションするツール
- 生活・文化
注文するより事前にメニューの品を味見できる「テイスティング・メニュー」
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 明治大学 宮下芳明研究室