No. 207 外出が困難でも働ける、分身テレワーク・ロボット

Orihime-D

OriHime-D(オリヒメディー)は、テレワークをしている人が遠隔で接客やものを運ぶなど、身体労働を伴う業務を可能にする全長約120cmの分身ロボットである。育児や介護、身体障害などで外出が困難な人はこれまで身体労働が難しかったが、このロボットと接続すれば、たとえ寝たきりでも業務にあたることができる。介護を受けている人たちに労働力として社会に参画する道を開き、距離や障害など人の物理的制約を乗り越える未来を作る知財である。

実現プロジェクト

分身ロボットカフェ DAWN

身体が不自由であったり、外出困難な人たちが遠隔操作型の分身ロボットでカフェの接客を行う、新たなテレワークの可能性を模索する社会実験。本カフェでは全国に住むロボット操縦者(パイロット)が分身ロボット「OriHime-D」で走行し、食事をサーブし、接客をする。ALS等の重度障害を持つ人らもパイロットとして参加しており、未来の働き方を示唆し注目を集める実験だ。2018年から毎年実施されており、検証・改善を繰り返しながら、常設店の営業を視野に進められている。


なぜできるのか?

「Orihime」の技術を発展させた、身体労働に適した機能

Orihime-Dは、その前身だった「OriHime」(カメラとマイクとスピーカーを内蔵し、インターネットを使ってスマホやPCから遠隔操作ができる全長約20cmの分身ロボット)にはなかった移動機能・運動機能を搭載。上半身に14の関節用モータを内蔵し、前進後退、旋回の移動能力をもつ。500gのペットボトルを片手をまっすぐ伸ばした状態で保持する事も可能。

身体が不自由でも可能な遠隔操作

視線の移動によって意思伝達や情報入力ができる「OriHime eye」の技術を応用した遠隔操作技術を活用。これにより、たとえばALS患者のような身体を動かすのが困難な人でも、眼だけでOriHime-Dの遠隔操作が可能となる。

豊かなコミュニケーション機能

大型のスピーカーを内蔵し、周囲に人の多い空間でも操作者の声を伝え、会話することが可能。また自由なモーションを作成・記録してボタンにより再生できることで、操作者の個性や人柄を表現することもできる。

能面を意識したビジュアルデザイン

喜怒哀楽様々に見えてくる“能面”を参考にデザインされており、操作者の表情を想像できることで、徐々にOriHime-Dが本人のように感じられる設計がされている。

相性のいい分野

ビジネス
高齢で引退した技術者による、遠隔指導プログラム
医療
医師不足の地域の遠隔診療ロボット
ダイバーシティ
言語や文化風習の異なる環境に身を置くことで、肌感覚として相違点などを体感
エンターテインメント
コンサート会場など、大量のOrihime-Dが置かれている場所に世界中から乗り込むことでコロナ禍での一体感を得る

知財情報

主な知財ホルダー:株式会社オリィ研究所

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

出村 光世 Mitsuyo Demura
Producer / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。アート/プロダクト/マーケティングなど領域に縛られずにさまざまなプロジェクトを推進。プロトタイピングに特化した「日本橋地下実験場」を拠点に制作活動を行い、国内外のエキシビションにて作品を発表している。自然現象とバイオテクノロジーに高い関心がある。


知財ライティング: 丑田美奈子