No.834

2024.03.08

創造力を引き出す未来の会議室

RICOH PRISM

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概要

「RICOH PRISM(リコープリズム)」とは、五感に働きかけて創造力を拡張する次世代の会議空間。映像や光、音、香りや触感などの空間演出で、一人ひとりの脳を刺激し、チームの創造性を引き出す。壁5面に画像投影可能な会議ツール/空間「SHIRO」を基本として、未知の世界を創造する没入空間や、チーム力を向上・結集させる対話空間など、4カテゴリ・10アプリケーションを展開。アイデア創発やチームビルディングなど、目的に応じたソリューションを提供する。日常の職場環境の枠を超えたアプローチで、新規事業開発やゼロベースのプロダクト開発、人材育成などを支援し、働き方や働く人の可能性を拡げると期待されている。

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なにがすごいのか?

  • 多様なアプリケーションで目的に応じた異なる会議空間を提供

  • 光や映像、音、香り、触覚で働きかけて人の脳細胞を刺激

  • 音響や映像、インタラクティブなコンテンツで高い没入感を実現

なぜ生まれたのか?

「RICOH PRISM」は、創業100年となる2036年に向けてリコーが掲げているビジョン「“はたらく”に歓びを」を実現するプロジェクトの1つとして誕生した。ビジョンのもと同社は、業務効率化や生産性向上にとどまらず、人ならではの創造力を発揮し、充足感や自己実現の実感などにつながる、“はたらく”の変革を目指している。
2020年11月には、東京都大田区に次世代ワークプレイスの実践型研究所「3L(サンエル)」を開設。コロナ禍で、人と会うことや何かを生み出す際の人との交流の価値が再確認される中、未来の会議室を構想し、3L内に「RICOH PRISM」を開設した。 以来、空間設計やコンテンツ開発、検証・運用を推進。すでに社内外のプランナーやクリエイターなどのチームなどから1,000回以上活用され、高い没入感でチームビルディングやアイデア発散を促進する効果があるとの評価を得ている。利用者からのフィードバックをもとに、さらなるユーザビリティの向上やアプリケーション開発を進めている。

実現事例 実現プロジェクト

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紀尾井カンファレンスの次世代会議空間

「紀尾井カンファレンスの次世代会議空間」は、リコーの事業所以外の外部施設に「RICOH PRISM」を設置した初の事例。2023年1月4日〜2023年末、東京都千代田区の東京ガーデンテラス紀尾井町にある会議室「紀尾井カンファレンス」を用いて、実証実験の位置づけで、サービス提供を行なった。リコーが、カンファレンスの運営会社である西武リアルティソリューションズと日本コンベンションサービスの協力を得て実現した。
複数のプロジェクターやマルチチャンネル・スピーカーを用いて、SHIROのほか、BRAIN WALLやPERSONA、DIALOGUE、WOWなど8種のアプリケーションを実装。8台のスピーカーを導入して環境に応じた調整を行い、アプリケーションに適した没入空間を構築した。利用料金は室料のみで「RICOH PRISM」のコンテンツは無料で提供。1~4名での利用を基本としている。人材育成やチームビルディング、新規事業のアイデア創発などをサポートする空間としての活用が期待できる。

なぜできるのか?

異なる方向から創造力を高める3つの領域

創造力を刺激するため、アーティストがデザインした空間を体験して未知の世界を探索する「旅する・WANDER」、チームのアイディエーションをサポートする「交える・GATHER」、心身のメンテナンスを行う「整える・TUNE」の3領域を設定。各領域で多様なアプリケーションを提供している。

アート空間で創造力を刺激する「WANDER」

アーティストが手がけた「WOW」「ANIMA」「RE:FLOW」の3つのアプリで、没入空間を構築。「WOW」では、液体の有機的な現象を映像化し音楽と合わせて非日常空間を提供している。「ANIMA」では、360度のデジタル映像で魂(Anima)と対面し再構築する体験ができる。人の表層・深層の魂をスキャンして記録し、自分の魂を見つめたのち、バラバラにして再構築する。一連のプロセスを通じて、脳と魂をリフレッシュさせる。「RE:FLOW」は、映像オブジェクトが崩れる空間でマインドフルネスを体験できる。3種の未知の空間を提供し、創造力を高めている。

チームのコラボレーションを活性化する「GATHER」

アイデア創発をサポートするアプリとして「PERSONA」「BRAIN WALL」「GALLERY」を提供。アイスブレイクを行う「PERSONA」では、音楽とデジタルに合わせて質問などに回答し、メンバー間で考え方やクセなどのコミュニケーションスタイルを共有する。「BRAIN WALL」は、アイデア発散・収束に没入できる空間を提供する。進行・タイムキーパーなどは完全自動化し、音声入力で壁面にアイデアを表示して、考えることに集中できる空間を実現している。「GALLERY」では360度のビジュアル投影が可能。没入感のあるプレゼンテーションなどに活用できる。

心身をチューニングする「TUNE」

「NEURO DRIVER」「ZEN」「DIALOGUE」のアプリで、個人やチームの心身をサポートする。「NEURO DRIVER」は、映像に合わせて身体を動かすフィットネスと、意識を内側に集中させる海底のような浮遊感のある映像で、外部のノイズから遮断し心身をリフレッシュさせる。「ZEN」は、映像で徐々に広がる視界・世界を表現し、脳と心に余白を持たせる。「DIALOGUE」は、焚火がゆらめくキャンプ空間を構築してチームをリラックスさせる。それにより、自己開示や自然な会話を導く。

高揚感を引き出す空間コンセプト

創造性を発揮するためには「気分」や「自己開示できる状態」が重要と考え、デジタルでスイッチングしてほろ酔いの状態を起こす「デジタルアルコール」をベースコンセプトとしている。エントランスを、アトラクションの通路のような仕様にし、壁面と床がスクリーンの真っ白い部屋で高揚感を醸成。音や光、香りなどを駆使して空間の没入感・トランス感を高めている。

コンテンツを支えるコアテクノロジー

リコーのコア技術である光学、マイクロデバイス、AIなどを用いて、空間を構築。複数のプロジェクターやカメラ、マイク、センサーなどを実装し、緻密な世界感を実現している。例えば、参加メンバーに配布するデバイスやカメラ、マイクなどで行動を検知して、空間の演出方法や会議の進め方などをリアルタイムに変化させている。他にも、会議中のメンバーの発話量や頷きなどのボディランゲージをデータ化し、会議後に提供している。アイデアへの反応などを可視化・分析して、今後のアイデア発想や会議進行をサポートする。

変化に対応する音響設備

目的に応じた多様なアプリに対応させるため、マルチチャンネル・スピーカーを導入。調整を施して、クイックに音の役割を変えられる音響システムを構築した。没入感を高める、会話を促すナレーションを行う、リアルタイムに音楽を生成して場に合った空気感を提供するなどを可能にしている。音響空間の設計・デザインや音作りなどは、サウンドクリエイティブを手がけるラダ・プロダクションが参画し、構築をサポートした。

相性のいい産業分野

メディア・コミュニケーション

アイデアがひらめく会議室・共有ラウンジの構築

教育・人材

非日常的な環境でフラットにお互いを高め合える研修・カリキュラムの企画

IT・通信

360度の投影環境を活かしたデジタルコンテンツの制作

アート・エンターテインメント

インタラクティブな没入空間を活かしたアート・ゲームイベントの開催

住宅・不動産・建築

没入空間を提供できる展示会場やイベント会場の建築

AI

アイデア発散に有用な画像・データをディスプレイに自動表示するAIの開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 リコー