No.1233

3段階ろ過とアルカリイオン水で、排水ゼロを実現する循環型洗濯システム

トリプルフリーランドリー

トリプルフリーランドリー

概要

「トリプルフリーランドリー」とは、洗濯に使用した水を独自の3段階ろ過技術で浄化し、繰り返し再利用することで、排水を出さずに洗濯できる循環型洗濯システムだ。シャープ株式会社が開発し、CEATEC 2026(2026年10月13〜16日、幕張メッセ)に出展。同展示会の「CEATEC AWARD 2026」において優秀賞を受賞した。早期の実用化を目指し開発中。ドラム式洗濯機と水の浄化・循環ユニットを組み合わせた構成で、洗濯後の排水を3段階のフィルターでろ過・浄化し、そのまま次の洗濯水として再利用する。予備の貯水タンクを必要とせず、システム全体を小型化できる。洗濯のたびに減る水は衣類に吸収される分のみで、不足した分だけ給水すればよい設計だ。小型で運搬・移設しやすく、給排水設備のない場所にも設置できる。洗濯には界面活性剤を含む一般的な洗剤ではなくアルカリイオン水を使用する。ソース・しょうゆ・トマトジュース・汗染み・ココアなどさまざまな汚れで検証しており、通常の洗濯機と同程度の洗浄力を確認している。名称の「トリプルフリー」は、平時も有事も活用できる「フェーズフリー」・場所を選ばない「ロケーションフリー」・世界中での利用を目指す「ボーダーフリー」の3つのフリーに由来する。

なぜできるのか?

洗濯排水に特化した3段階ろ過技術

トリプルフリーランドリーの核心は、洗濯後の汚水をそのまま次の洗濯に使えるレベルまで浄化する独自の3段階ろ過技術だ。第1段階では物理フィルターで繊維くずや大きなごみを除去し、第2段階では吸着フィルターで汚れ物質を取り除く。第3段階では雑菌の発生を抑制するフィルターで清潔な状態を保つ。3つのフィルターを順番に通すことで、排水を次の洗濯に適した状態まで回復させる。ろ過した水を貯水タンクなしで直接再利用できるため、システム全体をコンパクトに保てる。

アルカリイオン水による洗剤レスの洗浄

本システムでは洗剤の代わりにアルカリイオン水を使用する。界面活性剤を含む一般洗剤はフィルターの耐久性に影響を与えるためだ。アルカリイオン水は油汚れの乳化・分解に優れており、ソース・しょうゆ・トマトジュース・汗染みなどさまざまな汚れで通常の洗濯機と同程度の洗浄力を確認している。洗剤排水が出ないことはろ過効率の観点でも有利に働き、システム全体の設計を簡素化することにも貢献している。

フィルター耐久性の向上が実用化の鍵

現状では約100回の洗濯でフィルター交換が必要だ。シャープは実用化に向けて、これを200〜300回に延ばすことを目標に開発を続けている。フィルターの長寿命化が実現すれば、ランニングコストが下がり、一般家庭・商業施設・被災地支援など幅広い場面での普及が見通せる。フィルター技術の改良が、このシステムの社会実装を左右する最大の技術課題だ。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

水資源が乏しい地域や砂漠地帯のインフラとして、洗濯排水の循環利用で生活用水の消費量を大幅に削減

医療・福祉

病院・介護施設での感染対策や衛生管理に、洗剤残留ゼロのアルカリイオン水洗浄という特性を活かした清潔な洗濯環境を提供

旅行・観光

水の確保が難しい山岳・離島のグランピング施設やホテルに、給排水設備なしで稼働する洗濯サービスを導入

農業・林業・水産業

水産業: 農場・漁港など給排水インフラが整備されにくい現場の作業衣の洗濯設備として活用

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。 詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。 受賞 - CEATEC AWARD 2026 優秀賞(2026年10月) Top Image:© シャープ株式会社

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