News

2023.07.04

知財ニュース

オルツとJR西日本、AIで鉄道指令を人間同等レベルで実現─「鉄道指令業務アシストAI」を開発

jrw01

パーソナルAIの開発および実用化を行う株式会社オルツとJR西日本は5月24日、鉄道DXへの挑戦の一つとして「鉄道指令業務アシストAI」の開発の成功を発表した。

「鉄道指令業務アシストAI」は、列車のダイヤ乱れの際の運転整理業務を支援・代行するAI。オルツの推進する、あらゆるデジタル作業をデジタルクローンにさせることを目的とした「P.A.I.(パーソナル人工知能)」を活用し、指令員の負担を軽減する。

P.A.I.(パーソナル人工知能)

列車のダイヤ乱れの運転整理では、指令員に高度な知識とスキルが求められ、個人の能力や経験によってダイヤ復旧のスピードとクオリティに差が生じていた。また、無線への対応や情報共有が発生し、指令員への負担の大きさも課題になっていた。

そこで、両社とJR西日本イノベーションズの3社は「鉄道指令業務アシストAI」を共同開発。指令員の運転整理業務を支援できる有用なソリューションとなる見込みが立ったため、検証フェーズから製品開発フェーズに移行し、JR西日本による主導のもと、共同開発を加速させることとした。

フェーズ1では、指令員の運転整理案とAIの運転整理案を数十事例比較・検証し、AIが指令員の案と同等以上の回復ダイヤを作成できることを実証。フェーズ2では、運転整理の自動化を目指し、実際のダイヤ乱れをフェーズ1のAIモデルに学習させ、汎用性の高いAIを開発した。さらにフェーズ3では、実用化に向け、実証範囲を拡大し、精度の向上や新たな機能・UIの追加を実施する。

jrw jointdev img2 PR-1024x538

ダイヤ乱れ復旧AIの開発は、難易度が高く開発を行う企業が限られているが、交通インフラにおけるAI活用は社会に大きな影響を持つ、重要な取り組みである。両社は今後「鉄道指令業務アシストAI」の鉄道各社への販売展開を実施予定。さらに様々な交通機関に応用できるAI技術を研究・開発していくことで、社会全体の課題解決、業務効率化に貢献していくとしている。

ニュースリリースはこちら
「P.A.I.(パーソナル人工知能)」知財記事
「メタリユニア」知財記事
「株式会社オルツ、茂木健一郎氏のデジタルクローンの生成に成功」(ニュース記事)
「オルツ、思考を再現できる大規模言語処理モデル「LHTM-2」の開発に成功」(ニュース記事)

Top Image : © 株式会社 オルツ

広告