No.951

2024.11.27

視覚障がい者の見え方を可視化できるツール

VISIONGRAM(ビジョングラム)

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概要

「VISIONGRAM(ビジョングラム)」とは、視覚障がいの見え方を可視化できるツール。視覚障がいのデータをもとにドットデザインを変化させ、ビジュアルフィルターを生成して、一人ひとり異なる「視力」「視野」「感度」などを表現する。言葉で伝えるのが難しい視覚障がいの見え方の再現により、周囲への共有が可能になるため、相互理解を促して障がい者と健常者のコミュニケーションを深める。日常の交流を円滑化するだけでなく、インクルーシブ教育・体験学習の教材や、視覚障がいを持つアスリートの育成、医療現場のコミュニケーション、インフラ開発など広く活用が期待されている。

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なぜできるのか?

独自開発のビジュアルフィルター

障がい者の視力の数値や検査データをもとに、画像や映像の最小単位であるドットの数・密度・大きさ・色を変化させ、個々の「視力」「視野」「感度(見えやすさ)」や「色覚」を表現するビジュアルフィルターを開発。見え方の表現に用いている。例えば、視力の高低はドット数に変換し、視力が低い場合はドット数が減ってぼやけた見え方になる。感度の高低はドットの大小で表し、見えづらい(感度が低い)範囲はドットが小さくなる。色覚はドットの色を変えて、色を感じる細胞「赤錐体」「緑錐体」「青錐体」の機能不足を8種別で再現する。ビジュアルフィルターは、スマートフォンやPCカメラの画像・映像から生成可能で、QRコードやURLでデータを共有できる。

個々人で見え方が違うことへの着目

開発を手がけたクリエイティブチームが、視覚障がい者と会話を重ねる中で、視覚障がいといっても障がいの度合いなどにより、一人ひとり見え方に違いがあることに着目。そうした違いから、障がい者は自分の見え方を健常者に伝えづらく、さまざまな誤解が生じている点にも注目した。特に先天性の視覚障がい者は、自分の目の見え方しかわからないため、さらに説明が困難になる。そこで、個々の見え方を表現でき、共有可能な「VISIONGRAM」を開発。視覚障がい者も、自分では気づいていなかった視野の欠損などを客観的に把握できる。

相性のいい産業分野

メディア・コミュニケーション

視覚障がいの状況を伝えるコミュニケーションツールとして活用

スポーツ

視覚障がい状況を選手データの1つに取り入れ、選手育成や競技観戦時に活用

教育・人材

視覚障がいを体験して学べる教材の開発

医療・福祉

視覚障がいの状況を家族に伝え、日常生活を送る際の参考データとして提供

IT・通信

VR・MRなどによる視覚障がいのリアル体験サービスの開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © DENTSU INC.