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2022.08.11
知財ニュース
環境移送ベンチャー・イノカ、水槽内に海洋環境を再現し解析するサービスβ版をリリース─水環境の課題解決に期待
株式会社イノカは8月1日、水槽に海洋環境を再現して解析することで海洋環境が抱える問題の解決を図る「環境移送解析サービス」のクローズドβテストを開始。2022年11月のβ版正式提供を目標に、企業や自治体、大学と連携して実証実験を重ねていく。
従来、海洋資源は、水産業や海運といった業界と密接な関わりがあるほか、二酸化炭素の吸収源としても大きな価値を持つといわれてきた。しかし、海洋環境で発生する事象の多くは複合的な要因から起きるため、従来のアプローチでは解析が難しく、とりわけ以下の点がハードルとなっていた。
① 環境を構成する各種パラメータ(以下、環境パラメータ)のうち、センサー等によりデータとして取得可能なものが限定的であること
② 水温・水質等の取得可能な環境パラメータに関しても、天候等の影響により時系列でのデータの乱れが大きく、メカニズム解析においては不向きなケースが多いこと
③ 沖合・海中などの場合、定点での高頻度なデータ取得には多額のコストがかかること
そこで同社は、海洋環境を水槽内に再現する独自の「環境移送技術」を応用し、海洋環境を可視化する「環境移送解析サービス」の実証を開始。天候などの乱れのない閉鎖環境で海洋環境のモデル化・再現・モニタリングを行うことで、実環境では取得が難しい環境データを低コストで取得し、独自性の高い「海洋環境データベース」を構築し“海の見える化”を推進する。
2022年2月には、「環境移送技術」により、世界初の季節はずれのサンゴの人工産卵に成功した同社。今後は「環境移送解析サービス」を武器に、養殖における大量死のメカニズム解明やブルーカーボンの定量評価など、これまで解決されてこなかったディープイシューの解決を目指す。
Top Image : © 株式会社 イノカ