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2025.03.06
知財ニュース
TBWA博報堂、廃棄される貝殻を再利用した新素材からつくられた雪かき用スコップ「HOTASCOOP」と観光型公園「HOTAPARK」を発表

TBWA HAKUHODO(TBWA博報堂)は、甲子化学工業、株式会社 山神と共同で、水産系廃棄物の貝殻を再利用した新素材「SHELLTEC(シェルテック)」からつくられた雪かき用スコップ「HOTASCOOP(ホタスコップ)」と、同素材でつくられた観光型公園「HOTAPARK(ホタパーク)」を企画した。
本企画は、青森県と株式会社eiiconが実施する、あおもりオープンイノベーション共創プログラム「AOMORI OPEN INNOVATION PROGRAM 2024 Blue Ocean」の一環として構想された。青森県におけるホタテ貝殻廃棄問題の解決と地域活性化を目指すプロジェクトとして、2025年2月21日に、コンセプトイメージを発表した。
青森県では、ホタテの廃棄貝殻が約5万トン排出されている。廃棄貝殻は一部チョークや土壌改良に利活用されているが、多くは産業廃棄物として処理されている。大量に廃棄されるホタテ貝殻をゴミではなく資源として捉えることができないかと考え企画されたもの。
「SHELLTEC(シェルテック)」は、貝殻からできた日本初の新素材だ。貝殻に含まれる炭酸カルシウムは、建材、セメント、プラスチックなどの原料になることでも知られている。
この新素材「SHELLTEC」は、これまで捨てられてきた貝殻と廃棄プラスチックやコンクリートなどを組み合わせて作られた、強くて、地球に優しい素材だ。新品のプラスチックを100%利用する場合と比較して、最大36%CO2を削減し、曲げ強度も約33%向上している。また、石灰岩由来のエコプラスチックに比べ、最大20%のCO2削減が期待できる。この「SHELLTEC」は、ホタテ貝殻だけでなく、炭酸カルシウムを主成分とするムール貝や牡蠣の貝殻などからも同様に生成することが可能だ。
青森県では、2025年1月に災害級の豪雪が発生し、2025年1月5日時点の積雪量は139センチと平年の3倍を超え、県内では雪かきが大きな負担になっている。
厚生労働省によると雪かきの身体活動の強さはおよそ6メッツ。 これは、バスケットボールやウェイトトレーニングと同じ水準の身体活動量とされている。さらに、雪かきで使用されるスコップは主にプラスチックで作られていて壊れやすく、各家庭で多くのスコップが廃棄されている。
新素材「SHELLTEC」からつくられた雪かき用スコップ「HOTASCOOP(ホタスコップ)」は、「もしも、身体への負荷を軽減させ、その土地のもので壊れにくいスコップが作れたら?」、このような背景から誕生。ホタテ貝殻から作られた、地球にも身体にも優しいスコップが誕生した。今後、テスト開発を実施し、商品化に向けて進めていく予定だ。
また本プロジェクトでは、青森の未来を担う子供たちのために何かできないかと考え、ホタテの廃棄貝殻でつくられた公園「HOTAPARK(ホタパーク)」の設置構想を発表。廃棄物の削減と資源の循環利用の実現だけでなく、地域の新たな観光資源へと貢献することを目的に、青森市内における建設を目指して、プロジェクトが進んでいる。
Top Image : © 株式会社 TBWA HAKUHODO