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2024.09.06
知財ニュース
北野病院ら研究グループ、「歯生え薬」の医師主導治験を開始―2024年9月から
大阪市の北野病院ら研究グループが京都大学医学部附属病院の協力のもと先天性無歯症に対する歯の再生治療薬(通称名「歯生え薬」)の医師主導治験を2024年9月から開始すると発表した。
研究グループは、歯の成長を抑制しているタンパク質「USAG―1」を発見。先天性無歯症のマウスにこのタンパク質の働きを抑える核酸製剤を局所投与することで先天欠損歯を回復できることが示されたのだという。
先天性無歯症は、6本以上の歯が欠損している場合、遺伝が大きく関係していると考えられ、その確率は全人口の0.1%と言われている。先天性無歯症患者は顎骨の発達期である幼少期から無歯症となるため、義歯や歯科インプラントでの対応は困難なのだという。既存の治療法としては、成人になってから義歯や歯科インプラントによる人工歯を用いた代替治療しかなく、根治的な治療として歯の再生治療の開発が強く望まれていた。
「歯生え薬」を異なる用量で投与したフェレットの上顎切歯
治験は2024年9月から2025年8月を予定しており、まず、年齢が30歳以上65歳未満で臼歯(奥歯)の欠損・欠如1本以上の男性を対象にして行う。次に、4本以上先天性欠如歯に該当する2歳~7歳の患者を対象に行う予定だとしている。
研究グループは、将来的には局所投与により永久歯の次の「第3生歯」を再生させる治療法を計画している。
Top Image : © 医学研究所 北野病院