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2024.10.25
レポート
知財ハンターが注目する「CEATEC AWARD 2024」受賞テック4選
ViXion 株式会社, シャープ 株式会社, NEC 日本電気 株式会社
デジタルイノベーションの総合展である「CEATEC 2024」が千葉・幕張メッセで10月15日から18日にかけて開催されました。今年で25周年を迎えるCEATECは、「Toward Society 5.0」のコンセプトのもと、特別テーマ「Innovation for All」を掲げ、特別企画やCONFERENCE・イベントなどを実施。合わせて、Society 5.0の実現を促すことを目的に、「CEATEC AWARD 2024」が今年も開催されました。
「CEATEC AWARD 2024」とは、CEATEC 2024に展示される技術・製品・サービス等の中から、出展者が事前に応募した出展品・案件について、「CEATEC AWARD 2024 審査委員会」が学術的・技術的観点、市場性や将来性等の視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査・選考し、表彰するものです。
今年も多数の応募のなかから、「総務大臣賞」「経済産業大臣賞」をはじめとした各部門の受賞テクノロジーが発表されました。本レポートでは、知財ハンターが着目する4つのイノベーティブな受賞テクノロジーを紹介します。
ViXion01S〜眼のピント調節機能を代替・拡張する次世代アイウェア〜(ViXion株式会社)
〇CEATEC AWARD 2024 総務大臣賞 受賞
【概要】オートフォーカスアイウェア「ViXion01」の機能面とデザイン面をアップデートしたモデル「Vixion01S」。既存の自動でピントが合うことで、近くも遠くもはっきり見えるオートフォーカス機能に加えて、利用者からのデザイン面のフィードバックや乱視の人々からの要望を踏まえ、より普段使いしやすいデザインへの刷新、前モデルから約40%の軽量化を叶えるとともにフレームもスリム化した。さらに、アウターレンズのカスタマイズにより乱視などの目の課題への個別対応が可能となり、より多くの「見え方のわずらわしさ」を抱える人々に対応したモデルとなる。
センサーが対象物までの距離を測定し、独自のアルゴリズムをもとに小さな特殊レンズの形を瞬時に変えることでストレスフリーなピント調節を実現できます。老視や近視、弱視など見えにくさの課題を持つ方を対象とし、両手が塞がる細かい近接作業や、近くと遠くを繰り返し見る場合などに適している点がポイントです。
屋外対応 A0サイズ ePoster(シャープ株式会社)
〇経済産業大臣賞 受賞
【概要】消費電力0Wで表示保持可能かつ屋外設置可能な電子ペーパーディスプレイ。外光を反射して表示するため明るい屋外設置と相性が良く、屋外の掲示板やバス停等の大判ポスターをデジタル化したいという市場の声を反映した。大型化、屋外環境対応、太陽光発電システムと組み合せでエコでスマートな電子ポスター製品を目指している。
ソーラーパネルと蓄電池を備えることで、完全ワイヤレスを実現し、通信にはLTE-M技術を採用しているため、低消費電力通信を実現しています。さらに、LED照明を搭載することで、夜間の視認性を確保し、昼夜を問わず、常に情報発信が可能となります。環境に優しく利便性と信頼性を兼ね備えた新しい電子ポスターです。
デジタルツインソフトウェア【TRANCITY】(CalTa株式会社)
〇デジタル大臣賞 受賞
【概要】動画をウェブブラウザ上にアップロードするだけで、誰でも簡単に3Dデータが生成できる デジタルツインソフトウェア。生成した3Dデータは寸法情報のほか位置・時系列情報を有しており、Google 3D Mapなどの複数種類の地図上へ実寸大で配置することでインフラ施設の「何・いつ・どこ」 が一目で分かり、インフラの維持管理・建設を中心とした幅広い用途での活用が期待される。
老朽化や自然災害などインフラの維持管理に課題が生じつつある現状において、動画を撮影するだけで3Dデータが作成できるデジタルツイン技術「TRANCITY」は、インフラの維持管理や建設業をはじめ、その他製造業などを中心とした幅広い活用が見込まれる。自動3Dデータ生成、画像データ管理と情報共有、互換性やGoogle 3Dとの連携など、用途も幅広い。
専門知識不要で、誰でも直感的に操作が可能なUIを採用し、現場ですぐに使える各種計測や情報共有機能等も有しています。工事計画の現地確認調整~現地測量~工事進捗管理~その後の設備管理まで全ての工程で活用でき、大幅な省力化と関係者間の迅速な情報共有が可能な製品です。
産業DX推進と業務効率化を実現した映像認識×生成AI
〇25周年特別賞 受賞
【概要】今回はCEATECの開催が25回目であることから、開催テーマ「Innovation for All」に合致し、特にAI(人工知能)に関連するテクノロジーを対象とした「25周年特別賞」が設置された。
同賞にはNECの「産業DX推進と業務効率化を実現するNECの映像認識×生成AI」に贈られた。大規模言語モデルと映像認識AIを組み合わせて映像データを解析し、長時間の映像から利用者の目的に合わせた短縮映像と説明文章の生成する技術を世界で初めて実現。
損害保険にかかる事故調査報告書の作成において、従来と比較して作業時間を半減できるという。
当該技術が今後進化することによって、例えば自動車による事故の発生が低減するのではないかという期待、また他のさまざまな領域に応用できるのではないかとの期待が寄せられ、さまざまな領域での応用展開に向けた期待と、CEATECの開催テーマ「Innovation for All」に合致するとして評価された。
以上、知財ハンターが注目した「CEATEC AWARD 2024」受賞テクノロジーでした。CEATEC2024に集結する、先端テクノロジーの潮流にぜひ触れてみてはいかがでしょうか。
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