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2022.10.28
レポート
【DESIGNART TOKYO 2022】注目のアート作品や最新テクノロジーが集結─デザイナート2022レポート
東京を舞台に、アート、デザイン、インテリア、ファッションなど多彩なジャンルをリードする才能が集結し、街全体がミュージアムになる日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナートトーキョー)2022」が、2022年10月21日(金)から10月30日(日)まで(または会場ごとに11月6日(日)まで)開催中です。
世界中からインテリア、アート、テクノロジーなど、多彩なジャンルをリードする才能が集結し、今週末からは新たな展示イベントも開催される「DESIGNART TOKYO 2022」から、知財ハンターが着目した、多彩なデザイン・アート・テクノロジーと今週末の見どころを紹介します。
青山エリア:メインエキシビション「NEXT CIRCULATION-Sustainable & Technology-」
会場:ワールド北青山ビル / 東京都港区北青山3-5-10
メイン会場となるワールド北青山ビルでは、サステナブル×テクノロジーを基軸とするエキシビション「NEXT CIRCULATION」が開催中。リサイクルやアップサイクルの“その先を見据えた、企業ブランドとクリエイターによる取り組みやアップサイクル素材を用いた作品が並びます。
●100%回収再生可能なアイウエア「Hibāng RE-fishing-Net Circular Eyewear」
世界初の100%回収再生可能なアイウエア「Hibāng RE-fishing-Net Circular Eyewear」は、廃棄される漁網を素材にした、わずか15gの超軽量でありながら強靭で、強い圧力がかかっても壊れにくい再生素材の眼鏡。毎年約64万トンの廃棄漁網が海に沈み、海洋ゴミの1割を占めるとされる漁網を材料に製造され、アイウエア自体も使わなくなったらケースごとに店に戻せば、また回収され材料として再生されるという、100%再生可能な、台湾の台湾デザイン研究院発のアイウエアです。
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●オフグリッド型廃棄物リサイクルシステムから生まれた、スピーカーにもなる花器「Upcycling Multi-functional Container」
世界初のオフグリッド型廃棄物リサイクルシステム「TRASHPRESSO」を利用し、さまざまなリサイクル素材や産業廃棄物から作られたユニークな形の作品。自然界で最も一般的な六角形の形状をベースに、マンダラの花の6枚の花びらの概念を取り入れ、全体の構造をシンメトリーにバランスさせたもの。置き方によって、フラワーベースになったり、スマートフォン用スピーカーになったりすることも。World Design Impact Prize受賞。
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●火力発電所の副産物を混ぜることでCO2削減、強度と耐久性が増したコンクリート
2022年のミラノデザインウィークでの照明展「Figure of Light」で発表された新作「Butte」を、現代版のローマンコンクリートともいえるフライアッシュコンクリートを使用して新たに制作された作品。ローマンコンクリートは原料に火山灰を含有し、通常のコンクリートが50~100年であるのに対して2000年以上の耐久性が確認されています。火力発電所で生じる灰の一種のフライアッシュも同様に、セメントと混合させることで強度と耐久性が増し、火力発電所の副産物でもあるため、同量のコンクリートを生成する場合と比べて平均41%、1t あたり50kgのCO2削減にもつながり、カーボンリサイクル・コンクリートとして研究開発が期待されます。
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●脱炭素繊維とポリプロピレンを複合化した、軽くて硬い新素材「TAFNEX®」
TAFNEX® by MITSUI CHEMICALS, INC. × JUNICHIRO YOKOTA STUDIO @junichiroyokota
三井化学株式会社が新規開発した、脱炭素繊維とポリプロピレンを複合化した素材「TAFNEX®」を使用したベンチ・スツール。 炭素繊維の「軽く、硬く、強い」とポリプロピレンの「軽く・耐水・耐薬品」の特徴を合わせ持ち、成形性に優れた新素材です。TAFNEX®をチップ状にした材料を使用し成形加工を施すことで、まるで大理石・真っ黒な石英岩のような高級感を生み出すことができ、機能だけではなく意匠性(デザイン性)にも優れた特徴があります。質実剛健な素材は、短時間成形や二次加工性が可能であり、自動車部品や自転車部品等への適用では、軽量化、耐衝撃性向上、振動吸収等の効果を期待できます。
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●ロービジョンでも見やすい、網膜に直接映像を映し出すデバイス「RETISSA ON HAND」
ワールド北青山ビルメイン会場では、ロービジョンの人々を対象にQDレーザ社が開発した「RETISSA ON HAND(レティッサ オン ハンド)」を設置。使用者の網膜に直接映像を映し出す手持ち型の網膜投影デバイスで、ロービジョン(見えづらい、視覚に障害がある場合)でも作品の展示を見ることができます(※日時予約制)。今後は全国の図書館をはじめとして公共施設への設置を進め、展示物を鑑賞することや、文字を読んだり書いたり活用する取り組みを進めるとのこと。
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渋谷エリア:アジアのクリエイターによる集合展「DESIGNART GALLERY AT HZ SHIBUYA」
会場:Hz SHIBUYA(ヘルツシブヤ) / 東京都渋谷区宇田川町4-3 1F
●AIが立体成形する3Dプリンタの器 「mitate : AI design project」展
渋谷区宇田川町にあるHz SHIBUYAでは、「quantum × Stratasys Japan」による、“AIが見立て、デザイナーが仕立て、3Dプリンタで仕上げた器”を触って味わう「mitate : AI design project」展を開催。器の画像を学習した画像生成系AI「mitate AI」に、「トマト」や「地球」などあらゆるモノの画像を200枚以上学習させ、AIの視点で生成された器の画像からデータ化し、高精度フルカラー3Dプリンタで出力した器を出展しています。AIによって見立てられ、3Dプリント生成された、見た目や言葉の印象に近いカタチの器が並びます。
外苑前エリア: ITOCHU SDGs STUDIO「めぐる、つなぐ、はじまる展」
会場:会場:ITOCHU SDGs STUDIO / 東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F
●繊維廃材が生まれ変わった下駄「QUON」
外苑前のITOCHU SDGs STUDIOではクリエイティブ集団Konelが、繊維廃材が生まれ変わった下駄「QUON」を展示。繊維リサイクルボード「PANECO®」、リサイクル新素材ボード「リフモ®」とのコラボレーションによって製作された、古着から生まれたサステナブルな下駄が展示されています。
会場には、実際に下駄の製作に用いられる繊維リサイクルボードが展示され、触って固さや感触を確かめることができます。実際の木の板と同じくらい強固なボードから作られる「QUON」は、木下駄と同じくらいの固さと強度で、歯がすり減っても摩耗部を交換可能。
繊維廃材を素材に用いているため、元となる古着の色ごとに繊維リサイクルボードの色や模様のバリエーションが異なるため、様々な色や模様、テクスチャーが出るのが特徴的です。
原宿・明治神宮前エリア: WITH HARAJUKU 「Seiko Seed」
会場:会場:WITH HARAJUKU 「seiko Seed」 / 東京都渋谷区神宮前1-14-30
原宿・神宮前のWITH HARAJUKU(ウィズ 原宿)では、セイコーウオッチ株式会社が腕時計の様々な楽しさを体験できる発信拠点「Seiko Seed(セイコー シード)」をオープン。DESIGNART TOKYO 2022では展覧会「からくりの森」を開催し、腕時計の中の機構によって、自由自在に動く針の動きで奏でられる、自然の美しい音や光の様子を楽しめます。
一定のリズムで躍動する針から着想を得て、鳥のように羽ばたく姿を表現した作品「時計の捨象 #02」は、時計の機構に虹色の羽を取りつけ、時計の機構の動きに沿って色彩の影の群れをなして虹色の光を描きます。
インスタレーション「時計の捨象 #01」では、針の先にフィンを付けて水に浮かべた文字盤が、船を漕ぐボートとオールのように、針の動きで水面を動き回る姿を鑑賞できます。
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六本木エリア:「環(めぐ)るデザイン」
●資材の解体後に再び家具に再構築できる、資材を廃棄しないマテリアル
会場:東京ミッドタウン ガレリア 2F Aēsop前 / 東京都港区赤坂 9-7-1
インテリアデザイナー山本大介氏によるプロダクトシリーズの“ FLOW ”は、多くの使用可能な建築資材が廃棄され、新しい資材で空間をつくり続ける“スクラップアンドビルト”への問いから、資材の中で最も多く廃棄されるマテリアルの一つである内装下地材LGS(軽量鉄骨)に着目。マテリアル純度を高く保つLGS(軽量鉄骨)素材の活用で、空間がつくられ、壊されることを前提とし、解体後に再び家具に再構築することができます。LGS(軽量鉄骨)素材のパネルは木材板のようにモジュールによって設計、組み立て、分解可能で、施工、解体後も資材を廃棄しない流動するマテリアルサイクルを生み出すことに挑戦しています。
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●紙のような軽さでたわまない、薄くて軽いアルミ板
会場:AXISギャラリー JIDAデザインミュージアム / 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル4F
AXISギャラリー・JIDAデザインミュージアムでは、竹下早紀氏の『9mood 10mood』が展示。発泡パネルをアルミ板でサンドすることで、物を置いても、たわむことのない薄くて軽い板は、板に入った斜めのスリッドを前後に引き出すことで、各板を不規則に出し入れし、浮遊したようなボードは様々な形状に組み替えることができます。
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六本木エリア:「光と星のメタバース六本木」
会場:リアル空間/ANB Tokyo 3F、バーチャル空間/メタバース六本木公式サイト
会期:2022年 10月28日(金)~10月30日(日)
デジタルツインなどで昨今話題のメタバース。このメタバース空間・街が暗闇だったら人はどのような行動をするのか?またバーチャル空間とリアル空間の境目となる鏡が実際にあったらどのような体験ができるのか? ExMetaClub × tv asahiによる、メタバース空間での自己(=アバター)の体験や行動自体を作品と捉える実験的なアートワークです。いつもは華やかで光に満ちた「光と星のメタバース六本木」が期間限定で「ブラックメタバース六本木」になり、オンラインとリアルで同時開催される体験型の作品。(※今後も様々な都市へ展開予定。)
Metaverse Boundary /メタバースの境界線
会期:2022年 10月28日(金)~10月30日(日)
参加方法:リアル空間/ANB Tokyo 3F 港区六本木5-2-4 3F
バーチャル空間/ブラックメタバース六本木 詳細:https://taa-fdn.org/events/2668/
西麻布エリア:FUJIFILM 写真フィルム製造の総本山、湧き水からなる日本酒プロジェクト
会場:東京都港区西麻布2-24-2 SAKE STAND by FUJIFILM design
FUJIFILM日本酒「SAKE STAND」
FUJIFILMの写真フィルム製造の総本山である南足柄にある工場敷地内から湧き出る、良質な湧水を仕込み水にして作った日本酒プロジェクトが発足。同じ南足柄にある瀬戸酒造の確かな醸造技術で、地元産の山田錦・紫陽花花酵母を使ったオリジナルの純米吟醸酒が体験できるイベント。
DESIGNARTの期間中に、2022年度の新酒を紹介・楽しめるSAKE STANDが、西麻布 CLAYスタジオ地下に仮設し完全予約制でOPEN。FUJIFILMオリジナルの純米吟醸酒とCLAYがコラボして、日本酒の新しい楽しみ方をおもてなしとのこと。
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SAKE STAND by FUJIFILM design
会期:2022/10/28(金)~30(日) ※ 10/28は招待客のみ ※事前予約制
時間:13時~20時
場所:FUJIFILM Design Center CLAY Studio 1 東京都港区西麻布2-24-2
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「DESIGNART TOKYO(デザイナートトーキョー)2022」は、世界中から多彩なジャンルをリードする才能が集結し、街全体がミュージアムになる10⽇間。10月21日(金)から10月30日(日)までの開催(会場によっては11月6日(日)まで開催)です。10月29日(土)から新たに開催される展示イベントも多く、興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか。
DESIGNART TOKYO 2022
会期/2022年10月21日(金)〜30日(日)
会場/表参道・外苑前、原宿、渋谷、六本木・広尾、銀座エリア
時間/各出展者によって異なるため、下記サイトを参照の上、問い合わせのこと
※会場によって期間、開催時間、休日、入場料などが異なる
展示数:92
参加クリエイター・ブランド数:約300名
発起人:青木昭夫(MIRU DESIGN)/川上シュン(artless)/小池博史(NON-GRID・IMG SRC)/永田宙郷(TIMELESS)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)
オフィシャルサイト designart.jp/designarttokyo2022/
文:知財ハンター/福島 由香
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