No.663
2022.03.31
油圧駆動の“ゴム人工筋肉”
ラバーアクチュエーター by ブリヂストン
概要
「ラバーアクチュエーター by ブリヂストン」とは、ゴムチューブと高強度繊維のスリーブからなるアクチュエーター。油圧で動作し、内部に空気や油を注入して高い圧力を加えると、チューブが膨張しヒトの筋肉のように伸縮する。軽量かつ従来の電気モーターや油圧シリンダーと比較して軽量かつハイパワーで柔軟性に富むことから、モノをつかめるロボットハンドとしても活用が期待されている。「ラバーアクチュエーター」を使用したロボットハンドは柔軟性があるため、モノをつかめる対象範囲が大きく、正確な位置調整が不要といった特徴を有する。柔らかいものから硬いものまで、大小さまざまなものをつかめるため、産業用ロボットや家庭用ロボットなど、さまざまなロボットへの実装が期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
都市の無目的室《Morph inn》
都市の無目的室《Morph inn》は、ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズとクリエイター集団Konelが、未来体験を提供する共創型プロジェクト。ゴム人工筋肉を使用したやわらかいロボット「Morph」(モーフ)を用いて新感覚の空間イベントを開催し、自然界や動物のモーションデータをインストールした、有機的に動作するゴム人工筋肉「Morph」から、生物の胎動や呼吸、潮の満ち引きのような自然界の息遣いを来場者は体験する。
忙しい日々の中で人々は、目的のない時間を持ちにくい生活を送っているが、無目的な時間を過ごすことで、無意識に制御してしまっている思考を解放し、豊かな時間を生むことができるという構想のもと、やわらかいロボット「Morph」に身を委ね、無目的な時間を過ごせる空間を表参道にて展開し、体験者と未来について洞察する。
ブリヂストンが研究を重ねてきたゴム人工筋肉と、自然界のモーションを収録・再生するテクノロジーを掛け合わせることで誕生した「Morph」が体験者を迎え、大きなMorphの上に横たわり、小さなMorphを抱きかかえることで、やわらかいロボットに自らをゆだね、ゆだねられる時間を過ごしてもらい、普段は無意識に制御してしまう感情に向き合ったり、目的から解放される感覚を味わってもらう試み。
都市の無目的室《Morph inn》(モーフ・イン)
会期:2024年5月17日(金)〜5月25日(土)11:00 - 19:00
会場:「seeen」 東京都渋谷区神宮前4-13-12
公式サイト:https://www.bridgestone.co.jp/products/softrobotics/morphinn
体験予約フォーム:https://airrsv.net/morphinn/calendar(入場のみの場合は予約不要)
なぜできるのか?
軽量で高出力
「ラバーアクチュエーター」は、1tの力を出すのに必要な本体重量は400gと、軽量な特徴がある。これは、モーターやシリンダーを用いたアクチュエーターの重量と比較すると50分の1にあたる。
出力を任意にコントロール
「ラバーアクチュエーター」は加える力と発生する力が比例し、油圧を用いて高い圧力を加えると大きな力を発生する。またゴムチューブを太くすることで大きな力を発生でき、チューブの編角の大小で収縮力を調整できる。このように圧力・ゴムチューブの太さ・編角の調整で発生させる力を変えることができ、また、微小な力から大きな力まで出力を連続的に変化させることも可能。
優れた耐水性
「ラバーアクチュエーター」は金具で密閉されているため、内部の空気や油が漏れることなく、水中でも使用できる。
優れた耐衝撃性
構造がシンプルで、モーターなどのギアを必要としないため、外力を受けても破損しない。
相性のいい産業分野
- ロボティクス
軽量で高出力を発揮できる特性を活かしたロボットのスマート化
- 医療・福祉
人にぶつかっても怪我をしにくい安全な介護支援ロボ
- 生活・文化
ラバーアクチュエーターをハプティクスデバイスに用いた身体拡張
- アート・エンターテインメント
あらゆるものを掴める特性を活かした遠隔キャッチゲーム
- 農業・林業・水産業
個体差のある果物や野菜でも同様に掴み取る農業ロボ
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 株式会社 ブリヂストン