No.1228

日本の屋内環境に最適化された準国産ヒューマノイド

D1

D1

概要

「D1」は、株式会社ZEALS(ジールス)が開発した、日本の狭小な屋内現場で人と共存して稼働することを目的に設計された準国産コンパクトヒューマノイドだ。医療・介護、ホテル、製造・物流などの現場を想定し、全高約129.3cm・台車幅約48cmという日本の通路規格やエレベーターに無理なく馴染む小型設計を採用。AIによる自然な多言語対話や受付・案内に加え、双腕を用いた軽量物の運搬や受け渡しなど身体性を伴う業務を支援する。1体500万円からの現実的な価格帯を予定し、まずは「準国産」として迅速に社会実装を進め、現場稼働データを蓄積しながら将来的な「純国産」ヒューマノイド基盤の確立を目指している。

医療パートナー、保険パートナー、リースパートナー、デプロイパートナーの4領域で連携

なぜできるのか?

人手不足の現場で活躍できる日本の屋内環境に最適化したコンパクトなヒューマノイド

日本では、医療、介護、製造、物流、ホテルなどで人手不足が深刻化している。受付、案内、見回り、物品準備、運搬、配膳補助など、人が担ってきた業務の一部は、AIとロボティクスによって支援できる可能性がある。ヒューマノイドは世界的に注目されているが、どの現場で何を担い、導入後にどう運用・改善するかは確立されておらず、実際の働き手として定着させるには、現場ごとの空間や業務に適応し、データ収集、学習、評価、改善を継続する必要がある。そのためジールスは、多様な業界へ一斉に展開せず、明確な課題と継続的なニーズがある業務から社会実装を進める。一つの現場、一つの業務で安定稼働する状態をつくり、得られたデータや運用ノウハウを同様の課題を持つ現場へ段階的に展開する。同社が開発したヒューマノイドは、日本の屋内環境に最適化したコンパクトな設計となっている。少子高齢化、人手不足、高品質なサービスへの期待、限られた屋内空間、複雑な業務オペレーションなど、ヒューマノイド実用化の課題は日本に凝縮されている。同社は、日本を「課題先進国」であると同時に、ヒューマノイドが現実の業務を担う「ユースケース先進国」になり得る市場と捉えている。

日本での早期社会実装にむけて「準国産」から開始し、最終的には日本発の「純国産」ヒューマノイドを目指す

すべての部品を国内で構成する「純国産」ではなく、あえて「準国産」から始める。これは、現時点で純国産にこだわり、価格高騰や世界水準の技術・部品の導入を妨げれば、日本での社会実装が遅れるためだとしている。世界の優れた部品や技術を取り入れながら、AI、ソフトウェア、制御、組立、日本の現場に合わせた導入・運用をジールスが国内主導で進め、世界水準の性能と現実的な価格を両立する。最終的には、世界で戦える日本発の「純国産」ヒューマノイドを目指す。D1の社会実装で得たデータや運用ノウハウをもとに、国内の部品メーカー、製造事業者、研究機関などと連携し、主要コンポーネントの国産化を段階的に進める。D1を、日本の技術・製造基盤を育て、世界で戦える純国産ヒューマノイドへつなげる起点とする。

限られた場所でも導入でき、具体的な業務を担うことを目的に開発された

病院、介護施設、製造・物流現場、ホテルなどでは、限られた通路幅やエレベーター、既存設備、人が行き交う動線の中で、安全に移動・稼働できる設計が求められる。この準国産コンパクトヒューマノイドは、日本の屋内空間で人と共存し、具体的な業務を担うことを目的に開発されているため、導入しやすいサイズ、価格、運用性、安全性に加え、人との自然なインタラクションを重視している。また、対話や案内にとどまらず、双腕による物品準備、配膳補助、計量、運搬、物品の受け渡しなど、身体性を伴う業務支援へ展開する。

現場が導入を検討できる1体500万円からの価格帯を実現し、保険・リースパートナーとの連携で継続活用できる環境を整備

世界水準の技術や部品を取り入れながら、1体500万円からの価格帯を実現。実際の業務で継続稼働させるには、現場が導入を検討できる価格が不可欠。一方で、必要なのは本体価格だけではなく、対象業務の選定、現場環境への適応、データ収集、モデル学習、運用設計、保守、リスクへの備えまで、導入後も稼働を続ける仕組みが必要。ジールスは、保険・リースパートナーとの連携や運用支援を通じて、継続活用できる環境を整備する。

対話や案内、運搬などを担い、人と同じ空間で継続的に稼働するフィジカルAI

ヒューマノイドのサイズは、日本の建物や屋内空間での活用を前提に、全高約129.3cm、走行ベース幅約48cmのコンパクト設計を採用している。病院、ホテル、オフィスなどで、限られた通路幅や扉、エレベーターに対応し、人と同じ空間で継続的に稼働するフィジカルAIを目指す。また、大規模な設備変更や専用環境を前提とせず、対話、移動、案内、見回り、運搬、作業補助などを担う。

筑波大学附属病院で先行PoCを実施し、実際の屋内環境に近い条件下で、人との接触ゼロ、転倒ゼロで検証を完了

人と同じ屋内空間で長時間稼働することを前提に、安全性と運用性を重視している。人との共存を支える、安全設計のアームで、全7軸に関節トルクセンサを標準装備し、各関節にブレーキを搭載。人や物体との接触を検知した場合に動作を停止できる仕組みの実装が進められている。移動時も人や障害物を検知し、安全な速度と動線で稼働できるよう制御の高度化も行うとしている。 現場の高さに、柔軟に合わせる昇降軸で、上半身を約300mm昇降し、全高を約1,293〜1,593mmの範囲で調整が可能。受付カウンターや棚、作業台など、現場ごとに異なる高さに柔軟に対応することができる。6輪2駆の移動台車を採用し、その場旋回にも対応。LiDARや超音波センサ、接触検知を組み合わせ、屋内での安定した走行と、停止後の作業を足元から支える。バッテリーは、最大約8時間稼働でき、受付、案内、見回り、運搬などを長時間担うことができる。筑波大学附属病院での先行PoCでは、実際の屋内環境に近い条件下で、人との接触ゼロ、転倒ゼロで検証を完了している。今後も現場検証と保険パートナーとの連携を通じて、安心して導入・運用できる体制を整備していく。

医療・介護現場やホテルでの対話や、製造、物流現場での確認、報告、配膳など幅広い対応が可能

移動や作業だけでなく、人と自然に関わることを重視して、AIコミュニケーションの知見が生かされている。ジールスがAI接客、AIエージェント、AIアバターで培った知見を生かし、自然な対話、受付応対、案内、声かけ、多言語対応などから社会実装を進めていく。医療・介護現場では、案内、問い合わせ対応、待ち時間中の声かけ、高齢者の見守り、体操やレクリエーションなどが活用用途として期待されている。ホテルでは館内案内や多言語対応、製造・物流現場では作業者への案内、確認、報告、異常通知などへの活用が期待される。さらに、対話を起点に、双腕による物品の受け渡し、配膳、物品準備、運搬、計量、作業補助などへ対応領域を広げていく。

4領域のパートナーと連携し、ユースケース創出、リスク管理、資金計画、導入・運用支援までを一体で推進

このヒューマノイドを開発したジールスは、2014年4月1日に設立した東京都目黒区の企業。同社は、販売台数だけでなく、ロボットが実際に業務を担った「現場稼働時間」を社会実装の重要指標に掲げる。2026年度内に100台を量産し、累計10,000時間の稼働実績を目指して、医療現場を皮切りに多様な産業へ展開する。ヒューマノイドの社会実装には、ロボット本体の開発だけでなく、具体的な業務への適応、導入リスクへの備え、資金面での導入支援、現場への導入・運用体制が必要。同社は、医療、保険、リース、デプロイの4領域のパートナーと連携し、ユースケース創出、リスク管理、資金計画、導入・運用支援までを一体で推進する。

相性のいい産業分野

ロボティクス

業務支援型ヒューマノイドロボットの開発

医療・福祉

来院受付・採血室への道案内、待ち時間中の見守り・声かけ、夜間の巡回、軽度な配茶・薬剤搬送

旅行・観光

多言語によるチェックイン案内、コンシェルジュ業務、手荷物・アメニティの客室配送代行

製造業・メーカー

狭小なライン間でのピッキング部品運搬、定期見回り点検、社内郵便の自律集配

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。 詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。 Top Image : © 株式会社 ZEALS

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