No.919

2024.09.30

観測したいエリアに設置しデータ活用できる専用の気象観測機

ソラテナPro

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概要

「ソラテナPro」とは、観測したいエリアに簡単に設置でき、専用の観測データを取得・活用できる気象観測機。電源を入れれば観測を開始し、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7要素を1分ごとに観測して記録する。センシング技術と気象予測のデータベースを用いて、小型機で高精度な観測を実現し、従来のような大掛かりな設備や回線整備を不要にしている。アプリやAPI連携などによるデータ活用の仕組みも構築しており、異常気象に伴う災害リスクの低減に加え、農業、建設現場、工場、ドローン、太陽光発電、スポーツ、イベントなど多様な領域への展開が期待されている。

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なにがすごいのか?

  • 気象観測したい場所に専用の観測機を設置できる

  • 特定エリアの高精度な観測データを簡単に取得・分析可能

  • 観測値が設定値を超えた際のプッシュ通知機能を搭載

なぜ生まれたのか?

異常気象による災害リスクが高まる中、事業用のリアルタイムな気象観測データが求められている。しかし、従来の観測機は設備が大掛かりで、場所の確保や回線整備が必要となり、設置の手間や高額な費用がかかっていた。そこで、ウェザーニューズとオムロンが共創し、2022年3月から小型で設置しやすく安価に観測データを得られる観測機の開発に着手した。両社は2017年からセンシングデバイス開発で協業関係にあり、同年6月には主に家庭用を想定した持ち運び可能な簡易気象観測器「WxBeacon2」を発売している。そうした共創体制のもと、オムロンのセンシング技術とウェザーニューズの気象予測のデータベースなどを用いた、防災対策も可能な事業向けの「ソラテナPro」を開発。2023年7月5日から販売を開始している。

なぜできるのか?

設置場所を限定しない製品設計

重さは約960g、外形寸法は、縦約125mm×横約125mm×高さ約267mmと軽量・コンパクトな設計で、場所を限定せずに設置できる。また、電源を確保できる場所であれば、電源を入れてすぐに観測を開始でき、太陽光パネルからの給電も可能。気象観測が必要な任意の場所へ、手軽に設置できる観測機を実現している。

7つの観測センサーと毎分ごとデータ保存可能なシステム

雨量、風速、風向、気圧、照度、温度、湿度の7つのセンサーと、LTE-M通信が可能なIoT向けSIMを搭載している。異常気象に伴う大雨や台風も想定したセンサー設計で、雨量は50mm/hまで測定可能でバケツをひっくり返したような激しい雨にも対応、風速50m/sの樹木が倒れるような猛烈な風まで測定できる。観測データは、1分ごとにクラウドに保存し蓄積する仕組みで、リアルタイムのデータ把握や過去データを含めた分析を可能にしている。

手軽にデータ活用できるスキームの構築

「ウェザーニュース」アプリとの連携や専用ウェブサイトの提供、API連携によるデータ提供を行い、観測データの閲覧・分析・活用が可能な仕組みを構築している。アプリには、ユーザーが自身で気温・雨量・風速のうち2要素について閾値を設定し、設定値を超えるとプッシュ通知で知らせる機能も搭載。専用サイトでは、CSVで観測データのダウンロードもできる。APIで取得したデータは既存システムへ組み込み可能なため、企業の運用に応じた活用も容易に行える。

相性のいい産業分野

農業・林業・水産業

農作物の遠隔からの状況把握や災害対策、育成計画への活用

住宅・不動産・建築

工事現場や高所作業・クレーン操作などの作業実施判断に活用

ロボティクス

ドローンの飛行判断や飛行中の急激な天候変化対策に活用

流通・モビリティ

来店来客予測などの需要予測に活用し、店舗の人員配置や販促策を決定

スポーツ

マラソンや競歩、施設内で長時間行うスポーツなどの体調管理ツールとして活用

アート・エンターテインメント

観測データと連動して変化する映像・アートイベントの開催

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 ウェザーニューズ