No.917

2024.09.18

“脂質ゼロの油”を生成する装置

Virtual Oil Generator

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概要

「Virtual Oil Generator」とは、「脂質ゼロの油」を生成する装置の研究。味溶液の混合で味を制御できる調味装置「TTTV3」を用い、溶液を調整して味と食感を制御し、脂質を全く使用せずに油の食感・味・香りを再現している。5種類のブランドのオリーブオイルの表現を実現しており、脂質の摂りすぎを気にすることなく、食品に添加して油感を味わえる。ヘルスケア領域での展開やウェルビーイングを促すとともに、地球温暖化で懸念されるオリーブオイルなどの生産減を補う手段としての活用も期待される。

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なぜできるのか?

調味装置「TTTV3」の活用

宮下芳明研究室が取り組んできた味覚をコントロールできる様々な「味覚メディア」の研究・開発がベースにある。「Virtual Oil Generator」には、基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や辛味などを感じさせる味溶液を食べ物に混合噴射して、味を再現する「TTTV3」を活用した。同装置は、20の味タンクを持ち、0.02ml単位/1,000段階で制御可能。10の60乗(1那由他)通りの味の組み合せを出力でき、ワインやカカオ、梅干しなど、産地や品種の微妙な味の違いまで表現する。「Virtual Oil Generator」では、調味する味溶液とともに食感を制御する溶液を搭載した。

油の食感を再現する溶液の搭載

「TTTV3」にイヌリン(水溶性食物繊維)と低強度寒天の溶液を搭載し、食感を制御している。イヌリンは、自然界では、ゴボウや玉ねぎなどに多く含まれている水溶性食物繊維の一種で、添加物として様々な食品に使われている。「Virtual Oil Generator」では、口に残る油の食感・粘性・脂質感をイヌリンで調整し、低強度寒天で滑らかさを調整。脂質を使わずに、オリーブオイルの食感を口内で再現した。また、苦味・渋味・辛味を混合した味溶液で、味も表現。色・粘性・光沢感もリアルのオリーブオイルに近く、パスタや鶏のささみ肉などにかけてパサパサ感を軽減する、見た目の光沢感を付与するなどの使い方ができる。

相性のいい産業分野

食品・飲料

ドレッシングやソースなど、脂質ゼロで食事を提供するレストランの展開

製造業・メーカー

脂質ゼロの加工食品の開発

医療・福祉

脂質をコントロールしている患者・施設利用者の食事に採用

スポーツ

適正脂質に抑える手段としてアスリートの食事に活用

生活・文化

油の代替品として活用し、健康的な生活と食事の楽しみを両立

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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