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2023.10.02
知財ニュース
Microsoft、生成AI機能「Copilot」を統合した新Office発表─Word、ExcelなどOfficeアプリに生成AIを搭載
米Microsoftは現地時間9月21日、プレスイベントを開催し、生成AIによる支援機能「Copilot(コパイロット:副操縦士)」を統合すると発表した。同社はこれまでCopilot を、検索エンジン「Bing」や、Webブラウザー「Edge」、ビジネスアプリケーション「Microsoft 365」などにそれぞれ導入していた。今回の統合で、Windows 11を搭載したPCでは、これらの一部の機能を横断的に利用できる。統合後の呼称は「Microsoft Copilot」とする。
まずは、9月26日から展開するWindows 11のアップデートで、順次機能提供を行う。Bing、EdgeのAI機能強化は近日中を予定。また、企業向けのMicrosoft 365では、「Microsoft 365 Copilot」として、2023年11月1日に提供を開始するという。
アップデートで提供する「Copilot in Windows」では、Windowsの操作をAIで支援する。インターフェースは、Bingチャットをもとに構築しているが、Windowsの各アプリケーションやシステムと連携している点が特徴だ。
Webサイトの要約、アプリケーション上のドラフトアイディア生成、スクリーンショット機能と連携した画像編集など、AIによる生成が手軽に利用できる。アプリケーションの起動や、画面や音量などの設定・調整も可能。起動は、タスクバーのアイコン、または“Windows+C”のショートカットから行う。
また今回のアップデートでは、Copilot以外にも150以上の新機能を提供する。
例えば、「ペイント」アプリには、レイヤー機能や画像背景を除去する機能を追加。AIを用いた生成画像を提供する、「Cocreator」機能も加わる。
「フォト」には、「Background Blur(背景ぼかし)」機能を追加。AIが写真の背景を自動で検知して、ぼかしをかける。また、画像検索機能も強化した。フォトアプリからクラウドストレージのOneDrive内の保管写真の検索と、撮影場所・キーワードなどにもとづいた画像検索が可能だ。
「メモ帳」には、セッション状態の自動保存機能を追加。テキストを保存せずにウインドウを閉じても、前回の状態が復元され、複数タブを開いていても再現できる。反対に、セッションを終わらせたい場合は、該当タブを閉じる必要がある。
その他、動画編集アプリ「Clipchamp」への自動合成機能の追加や、スクリーンショットアプリ「Snipping Tool」のキャプチャー機能強化など、さまざまな機能が追加・強化される。
11月1日より提供予定のMicrosoft 365 Copilotは、ビジネスタスクのサポートを行う。Copilotを、Microsoft 365 Apps (Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams など)に統合する。
例えばWordでは、AIを用いた文章要約や書き換え、表生成などが可能になる。Excelでは、データ編集・分析やグラフ生成などを支援する。また、指定したPowerPointドキュメントにもとづく企画案の生成なども可能だ。
メール応対のサポートも行う。例えば、目を通せていないメール内容の要約や、本人の文章に似せた下書き生成などが可能。内容に応じたネクストアクションも、クリック操作などで簡単に行えるようになる。
また、Bingでは、OpenAIの「DALL-E 3」モデルを搭載した画像編集機能の追加や、Bingで生成する画像に目に見えない電子透かしを入れる機能など、AI関連の機能強化も図られる。
プレスイベントの冒頭、サティア・ナデラCEOは、「ChatGPTが初めて登場したのはたった10カ月前だが、それ以来、IT業界だけでなくはるか彼方でも全てが変わった。とてもエキサイティングだ」と述べている。AI開発に関する企業責任の要請や規制強化の動きがある中でも、生成AIの活用・進化はますます加速しそうだ。
Top Image : © Microsoft