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2023.09.12

知財ニュース

東大発ベンチャーWOTA、上下水道施設不要の循環システム構築─ソフトバンクや自治体と協力し水インフラの確立へ

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水問題の構造的な課題解決に取り組むWOTA株式会社は、愛媛県や東京都などの複数の自治体やソフトバンク、日本政策投資銀行などと連携し、持続可能な水インフラの構築に向けた新たな小規模分散型水循環システムを実装していくことを発表した。

取り組みは「Water 2040」プロジェクトと銘打ち、人口減少や上下水道の老朽化の加速で上下水道財政が大幅に悪化していくと予想される2040年までの解決を目指していく。

プロジェクトでは、同社が独自開発した水処理の自律制御技術により、使った水をその場で処理し、再度使える水に戻す再生循環の仕組みである「小規模分散型水循環システム」を活用した新たな分散化を検証する。

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例えば全国の島嶼地域へと普及できる「島嶼地域モデル」として、日本で4番目に面積が小さい自治体である利島村において「小規模分散型水循環システム」の導入を開始した。

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かねてから安定した水確保に課題があり、水飢饉を何度も経験している利島村は、海水淡水化装置の導入により水供給の安定化を図ったものの、提供価格の約14倍にもなる高額な給水原価が水道財政を圧迫している。水不足やそれに伴う給水原価の高騰は、全国の島嶼地域にも共通する課題だ。

そこで利島村では2023年より、「小規模分散型水循環システム」の実装を開始。全国の島嶼地域へと普及できる「島嶼地域モデル」の確立を目標に、既に開始している実証実験に加えて、村営施設への実装を行い、2040年までに財政的に持続可能な村民が暮らしやすい水インフラの構築を目指すという。

さらに、愛媛県においても、過疎地域モデルとして「小規模分散型水循環システム」を導入した。

愛媛県は、2060年までの人口減少率が40%超という推計があり、ほぼ全域に過疎地域を抱えている。また「瀬戸内海気候」のため降雨が比較的少なく、さらに急峻な地形から降った雨がすぐに海へ流れ出てしまうなど水資源に乏しいという特徴があり、水資源対策は県政の重要課題だ。

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そこで2023年度から愛媛県の取り組みとして、今治市、伊予市、西予市の3市と連携し、WOTA社の提唱する「小規模分散型水循環システム」を導入。地域への実装に向けた検討を進め、県内市町村への横展開を目指すとともに、全国の過疎地域へと普及できるモデルの創出に取り組んでいく。

同社はプロジェクトを通し、今後、水問題が特に深刻な地域からの展開を計画中。まずは2023年までに、給水原価が高く住民生活にまで水問題が顕在化した地域から先行的に導入を開始している。2030年までには、財政赤字で老朽化配管が更新しづらい地域の代替手段として全国な拡大を目指す。さらに2040年には、人口密度の低い地域の標準的な水インフラとなり、次世代が安心して使える持続可能な水インフラを確立していく方針。

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Top Image : © WOTA 株式会社

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