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2024.03.28
知財ニュース
Apple、ヘッドバンドで脳活動を検知し、信号化する特許公開─Vision Proを非侵襲型BCIとして展開か
米国特許商標庁(USPTO)は現地時間2024年3月21日、Appleの特許出願技術「HEALTH SENSING RETENTION BAND(ヘルスセンシング保持バンド)」を公開した。
同技術は、ヘッドマウントデバイスを装着する際のバンドに関するもの。ヘッドバンドに搭載した複数のセンサーで、装着者の脳波や脳の活動などを検知し、その生体情報にもとづいて電気信号を生成する技術が、出願内容の軸となっている。脳から生じた電気信号を、装着した頭部のデバイスに送信して動作させることも想定。視覚・音声・触覚フィードバックなどを例示している。
Appleは出願文書の中で、ヘッドバンドに統合センサーを備えることで、非侵襲的な“ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)を形成する”と記載。24年2月に米国で販売開始したヘッドマウントデバイス「Apple Vision Pro」の将来像としてBCIも想定していると推察される。
ベースとなるセンサーによる脳活動の検出では、脳波計(EEG)として、脳の外側の大脳皮質の活動や脳波の測定、脳内で発生する電気活動のスナップショットを毎秒数千枚まで記録するなどが可能。また、近赤外光の照射を用いた脳機能の計測技術である「近赤外分光分析法(fNIRS)」を行うように構築することもできるという。
センサーは、バンドへ埋め込むか取り外し可能な形で搭載して、多様なセンサーへの対応を想定。例えば、温度・酸素・呼吸・筋収縮・リラックスやストレスといった自律神経系 (ANS)の変化を検知するセンサーなどを示している。それらの検知データにより、例えば、脳波や呼吸の状態を数値でディスプレイに表示したり、休憩や活動を見直す提案をしたりと、装着者の体調に応じたサポートができる。
センサーは、後頭部と側頭部付近に接触または近接する形での配置を想定。脳の特定領域を計測するなど、目的に応じて所定の位置に配置できるよう、調節・可動が可能な形にする。後頭部を包むタイプだけでなく、頭頂部を包むタイプや、分岐ストラップなどの可能性も含めている。
用途ごとにカスタマイズしたヘッドバンドの展開も見据えている。教育・スポーツ・ヘルスケア・産業領域の学習やトレーニング用など、各用途に応じたカスタムヘッドバンドもあり得るという。
本技術が進展し、Apple Vision ProをBCIとして活用できるようになると、展開領域をさらに拡げるとともに、人のライフスタイルも大きく変えそうだ。
Top Image : © Apple Inc.