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2024.04.05

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世界初、木材成分だけで木製アイテムを3Dプリントする技術を開発─木質廃材を再利用、ライス大学ら

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米国テキサス州のライス大学 研究チームは、開発した新たな3Dプリンティング技術により、世界で初めて「木材成分のみで木製アイテムを3Dプリント製造できる技術」を開発したと発表した。

科学者たちは、木材からオブジェクトを3Dプリントできる新しい「インク」を開発したとしており、この材料から木製アイテムを製造できるという。この技術は木材廃棄物を削減し、さらに焼却または投棄されることになる既存の木材廃棄物を再利用できる。

これまでも木材由来のセルロースをプリントアウトした木製の3Dプリント物体や、木屑とバイオエポキシ樹脂の混合物を用いたギター、液体培養した植物細胞を充填したゲルをフィラメントとして3Dプリントし、脱水して完成する木質のモデルなど、木を使用したプリンティングはあったが、木の成分のみでの3Dプリントは世界初となる。

このインクは、水、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、リグニンで構成され、直接インク書き込み(DIW)プロセスという3D印刷工程でオブジェクトを構築するために使用される。

焼結プロセスでは、-85℃で48時間凍結乾燥後、180℃で20から30分加熱することによりリグニンがセルロース繊維と結晶を結びつける。焼結プロセスにより個体の形になり、この材料でプリントアウトされたアイテムは外観、構造、質感、熱安定性、香りが天然木に似ており、機械的強度が高く、生物分解可能だ。

プリントする際には、必要なインクの量のみ使用でき、天然木から彫刻やフライス加工する場合のような無駄な廃棄物は発生しない。

「木材の成分から直接木材構造を作成するこの能力は、エコフレンドリーで革新的な未来のための基盤を築く」とムハンマド・ラーマン助教授は述べている。

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Top image © Rice University

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