No.740
Tech Direction Awards受賞作品
2024.08.27
身体の拡張と編集を自由にするロボットアームシステム
自在肢(JIZAI ARMS)
概要
自在肢(JIZAI ARMS)とは、腕の装着脱・交換を可能にする、ロボットアームシステム。6つのターミナルを持つベースユニットと、装着者が制御可能な着脱式ロボットアームからなるウェアラブルシステムとなっている。第三者による動きの制御ができるほか、複数の装着者間での腕の「交換」「贈与」などの社会的インタラクションを可能とし、自由自在に身体をデザインできる“自在化身体”の実現例となっている。
なにがすごいのか?
ロボットアームによる身体の拡張・編集の可能性を提示
複数の装着者間による腕の「贈与」「交換」などの社会的インタラクションが可能
ロボットアームの動きで装着者にインスピレーションをもたらす
なぜ生まれたのか?
サイボーグの概念が提唱されてから半世紀、今日、ウェアラブル技術やロボット工学・制御技術を駆使したデジタルサイボーグ「自在化身体」の研究・開発が着目されている。自在化技術の特徴として非侵襲的(外科手術などを必要としない)身体変工・編集、自在・可変性がある。複数の自在化身体間のインタラクションを探るためにデザインされた「自在肢」は、自由自在に身体をデザインできる自在化身体の実現例であるのみならず、複数の装着者間での腕の「贈与」「交換」などの社会的インタラクションを可能とする実験的作品として制作された。
なぜできるのか?
装着脱が容易なウェアラブルシステム
「自在肢」は、ロボットアームをコントロールする接続ターミナルを6つ持ったベースユニットに、着脱式のロボットアームを装着して用いる。ベースユニットは背負う仕様。肩・肘・手首のように3箇所に節があるロボットアームは、簡単に取り外しでき、装着者同士での腕の交換も可能にしている。
動作を共有できるロボット制御技術
ロボットアームは、リーダーフォロワー制御で操作している。アームを模したデバイスを用いての遠隔操作と、装着者による制御が可能。装着者はロボットアームを活用して、生身の身体では表わせない身体表現ができる。またロボットアームの動作から、装着者がこれまでにしていなかった表現のインスピレーションを受けるなど、表現の可能性も拡張している。
人間拡張を目指した自在化身体の研究開発
稲見自在化身体プロジェクトは、人間がロボットや人工知能などと「人機一体」となり、自己主体感を保持したまま自在に行動することを支援する「自在化技術」の開発と、「自在化身体」がもたらす認知心理および神経機構の解析をテーマに先駆的な研究を展開している。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
ロボットアームをモデルが装着・表現することによる広告やコミュニケーションの設計
- アート・エンターテインメント
人機一体で表現を拡張する音楽ライブや演劇
- 医療・福祉
身体的にハンデのある人と健常者が境界なく自由に身体を拡張する文化
- 生活・文化
拡張した身体パーツを親しい人同士で共有・交換・贈与するカルチャー
- スポーツ
ロボットアームの動きと生身の動きを掛け合わせた、新しいダンス表現やトレーニング
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 稲見自在化身体プロジェクト