No. 209 デジタルで再構築される、美しい軌跡を描く“紋”

紋曼荼羅

「紋曼荼羅」は、“家紋”の構成要素である円と線の軌跡を可視化する技法およびそのアート作品。日本に古くから存在する家紋だが、手描きの際に用いる竹製のコンパス(分廻し)にはサイズの限界があった。「紋曼荼羅」は制作にデジタルツールを導入することでこの限界を克服し、表現を拡張する。家の紋章という役割である家紋をアート作品へと昇華させうる温故知新の知財である。

家紋「金輪雁金」の描き方。通常では円と線の軌跡を消して完成とするが、紋曼荼羅ではこれらの軌跡をあえて残す。

実現プロジェクト

なぜできるのか?

伝統技法に取り入れられる「デジタルツール」

紋曼荼羅の大きな特徴は、従来の家紋制作ツールであった竹製コンパスをデジタルツール「Adobe Illustrator」に切り替えて表現領域を大きく広げたことである。Illustratorの円ツールをうまく駆使することで、多重になっていく円の軌跡から生まれる曲線美を構築した。伝統技法を現代に合わせてアップデートさせた好例といえる。

デジタルによって広がる応用可能性

紋曼荼羅の技法を使えば、数千の円を組み合わせるなど、これまで表現の難しかった複雑な形を描くことができる。現代的なモチーフとも相性が良いことから、一流デザイナーやホテル、メーカーとの共創作品も多く生まれており、プロダクトデザイン・空間デザイン・ファッションデザインといった幅広い異業種とのコラボレーションという応用可能性を秘めた知財として今後の発展が期待される。

相性のいい分野

エンターテインメント
円の組み合わせで世界を構築していく「曼荼羅マインクラフト」
教育
コンパスを使って円アートを描く授業「算数×図工」

知財情報

主な知財ホルダー:誂処京源

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

丑田 美奈子 Minako Ushida
Writer / Konel Inc.

1982年神奈川県相模原市生まれ。ライター・プロデューサー・バックオフィサーの顔を持ち、活字と音楽をこよなく愛する。別名・最もテクノロジーから遠い超文系知財ハンター。彼女の琴線に触れる知財とはすなわち万人に届きやすい知財であることを意味する。未来を作る教育関連の知財や食関連など、実用性が高く生活に密着する知財を日々探している。


知財ライティング: 丑田美奈子