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2022.12.26

お知らせ

世界を進化させるテクノロジーを称えるアワード「知財番付2022」の受賞知財が決定

知財番付 2022

知財図鑑は「世界を進化させる知財」を多くの新規事業担当者に広めることを目的として、優れたテクノロジーを称えるアワード『知財番付』を例年開催しています。

今年もアワードを開催し、下記4つの指標にて2022年に掲載した知財・全251点を知財図鑑編集部と"知財ハンター"が5段階評価を行い、合計20点満点にて評点を集め集計。今年の『知財番付2022』を選定しました。

応用性:他分野の産業や技術にも活かせる展開の可能性があるか?
専門性:特定の産業やシーンにおける課題解決力があるか?
将来性:次世代のスタンダードをつくる基盤となりえるか?
クリエイティビティ:従来の表現活動や生活を拡張する創造性があるか?

ここでは、2022年に掲載した全251点の知財の中から最も高い総合点を獲得し、東西の“番付”として選出された受賞知財TOP10を紹介します。

※なお、本アワード「知財番付」は日本国内に拠点がある知財を対象としています。2022年は画像生成AIや対話型知財に大きな注目が集まりましたが、その中でも応用性や事業創出視点での活用が期待できる知財に審査の重点が置かれました。

受賞結果

<東>

呼気センシング 東の「横綱」に輝いた、"息"を活用した生体認証技術「呼気センシングによる個人認証」”。個人ごとに異なる呼気の成分パターンを分析し個人認証する技術は、顔や指紋、虹彩などを利用した生体認証と異なり、偽造のリスクが低く、認証後に霧散する呼気認証は高セキュリティを発揮。将来の生体認証のスタンダードになり得る技術として高評価を集めた。

横綱:「呼気センシングによる個人認証精度97.8%の、"息"を活用した生体認証技術
   東京大学大学院工学系研究科、九州大学大学院総合理工学府、名古屋大学大学院工学研究科、パナソニックインダストリー株式会社

⼤関:「AUDIO TOKEN DISTRIBUTOR「音」を介して簡単にNFTを配布可能なソリューション
   SUSHI TOP MARKETING株式会社、エヴィクサー株式会社

関脇:「sixth finger独立制御が可能な「第6の指」
   国立大学法人電気通信大学、フランス国立科学研究センター、科学技術振興機構(JST)

⼩結:「ストレスガス識別センサーアレイ緊張による「ストレス」の発生をリアルタイムで検知
   国立研究開発法人産業技術総合研究所

前頭:「Zippar空に交通インフラを生み出す、都市型自走式ロープウェイ
   Zip Infrastructure株式会社

総評
・東の横綱となった生体認証技術「呼気センシングによる個人認証」は、個人ごとに異なる呼気を利用し97.8%の高い精度を持ち、顔や指紋、虹彩などの生体認証よりも情報の偽造や搾取がされにくい点、さらに呼気は認証後に霧散するため高い安心・安全面は、未来のスタンダードとなり得る将来性が評価され最高得点での受賞となった。
・「AUDIO TOKEN DISTRIBUTOR」の、音に音響透かしを入れることで音を介してNFTの証明を行う独創性が高い評価を得た。複雑な操作は必要ないため、街中や商業施設など日常的な側面にNFT配布を活用できる汎用性に得票が集まった。
・「sixth finger」は、第6の指を必要に応じて付け外しできる高い自由度と、使用に慣れることで身体の一部として独立制御でき身体を拡張し得るという、脳研究と身体フィードバックに大きな研究成果をもたらす点が多くの評価となった。
・皮膚から放出されるストレスガスをリアルタイムでモニタリングできる「ストレスガス識別センサーアレイ」は、健康維持や疾病予防のほか、その小型性と安定性からウェアラブルデバイスにも応用でき期待が集まる。
・都市型自走式ロープウェイ「Zippar」は、陸路・空路を縦断する未来の交通インフラにおいて、コストと時間を削減し、柔軟な路線設計が可能な新しい交通手段としての将来性に多くの票を集めた。

<西>

fig green ocean 1 西の「横綱」として票を集めたのは、海上と海面下で食物を育てる海上ファーム「Green Ocean」。海中環境改善の効果も期待できっ、水害塩害問題の解決効果も期待されている。

横綱:「Green Ocean海水を栄養源として食物を育てる海上ファーム
   株式会社N-ARK、株式会社CULTIVERA

大関:「欠失型ゲノム編集狙った「変異」をピンポイントで起こす品種改良技術
   リージョナルフィッシュ株式会社

関脇:「ウッドケミカルズ樹木を“超穏和”に溶解して再構成する技術
   株式会社ダイセル、京都大学

小結:「ウルトラファインバブル水だけで油性の汚れも落とす、超微細な気泡
   株式会社サイエンス

前頭:「QPS-SAR天候に左右されずに地上データを高速取得できる超小型人工衛星
   株式会社QPS研究所

総評
・西の横綱となった「Green Ocean」は、海上では塩性農業技術を活用した食糧生産を、海面下では藻類等を栽培し、このシステム循環で海中環境改善を行うと想定されている。海面上昇の対策のほか、水害塩害問題の解決に寄与し海洋全般を変えうる高い貢献度に多くの票が集まった。
・狙った遺伝子を切り、狙った変異を生物に与える「欠失型ゲノム編集」は、膨大な時間を要する品種改良を2年で実現する品種改良の促進力と、漁獲量の減少を打破し得る課題解決力に高い評価を得た。
・木材を融和し、樹木を紙状、板状などに再構成する「ウッドケミカルズ」は、地域里山、ひいては農林水産業の収益構造を変える地球環境への貢献度に多くの期待が寄せられた。
・水だけで油性の汚れを落とす「ウルトラファインバブル」は、薬品を使わなくて済むことによる環境負荷低減のほか、医療分野や、機器のメンテナンス、介護など展開の幅に高い応用性が見込まれる。
・従来の衛星では観測の難しかった悪天候時でもリアルタイムの連続データを計測できる小型衛星「QPS-SAR」。衛星データは、人、車両、家畜、性別といった移動データや被災時の被災状況などに至るまで10分おきの高頻度で取得でき、ビッグデータ計測による未来予測やDX化への高い貢献が期待できる。

知財図鑑では、これからも「世界を進化させる」テクノロジーをクリエイターの視点でわかりやすく解説し、未来を妄想することで活用の可能性を提案していきます。知財の掲載・取材を希望する企業や個人の方は、こちらからぜひお問い合わせください。

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