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2024.01.22
知財ニュース
世界初─ドコモと明治大学ら、相手の感じ方に合わせて味覚を共有する技術を開発、映画やアニメ、メタバースで活用
明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室、NTTドコモ、H2L株式会社は、相手の感じ方に合わせた味覚を共有する新たな味覚共有技術「フィールテック」を開発した。
この技術は、宮下芳明研究室とH2Lが研究開発した味覚を再現する技術と、ドコモが開発した「人間拡張基盤®」の連携によって実現されており、相手の味覚の感じ方を、データをもとに人間拡張基盤上で独自アルゴリズムを用いて推定し、相手に伝えたい味を再現する。相手の感じ方に合わせた味覚を共有する基盤技術の開発は世界初となる(ドコモ調べ。2023年12月21日時点)。
この技術は3つの主要部分から成り立っている。第一に、味覚データを収集するセンシングデバイス。次に、個人の味覚の感度の差異を推定し共有する「人間拡張基盤」。最後に、味覚を具現化する駆動機器(アクチュエーションデバイス)から構成される。これらの組み合わせによって、伝えたい味の感じ方を効果的に再現し共有することを実現。アクチュエーションデバイスでは、基本的な五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を味覚の標準液(味を再現し、評価や比較を行う)を用いて再現することが可能だ。
言葉では伝えにくい味覚の感じ方を、この技術を通じて共有することで、メタバース空間内のバーチャル体験や、映画やアニメコンテンツなどでの体験が一層豊かになると期待されている。2024年1月17日に開催される「docomo Open House’24」でこの技術が披露される予定だ。
100Gbpsを超える高速通信、超低遅延、超多接続の6G時代において、これまでの視覚・聴覚に加えて、バーチャル体験の中の仮想的な食べ物・飲み物の味覚も再現可能となるとされている。
本技術を、メタバース空間や映画、アニメなどのコンテンツで利用することにより、バーチャルな体験や視聴体験が、これまで以上にリアルかつ豊かなものになると考えられている。
例えばバーチャルカフェでのケーキの共有やデジタル空間での料理の共有などが可能になる。また、視聴者は、未来の食事や古代の食事、映画やアニメの中の食事など、作者が想像した味覚を直接体験できるようになる。このように、コンテンツの提供者とユーザーの双方にとって新しい可能性が広がっている。
また、CMも公開されており、テレビで彦摩呂さんの「旨みの宝石箱や〜!」という食レポを見ていた綾瀬はるかさんが、この「フィールテック」を活用し、スプーン型デバイスで彦摩呂さんが味わう料理の味を自宅で同時に体験する内容が映し出されている。
Top Image : © 学校法人 明治大学