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2024.06.12

知財ニュース

沖縄科技大、メダカ受精卵で胚細胞分裂を生きたまま「タイムラプス」観察に成功

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沖縄科学技術大学院大学の清光智美准教授(細胞生物学)らのグループは、脊椎動物の生命の初期段階である胚細胞で起こる細胞分裂を、メダカの受精卵を一定間隔で写真撮影しコマ送り動画にした「タイムラプス」で観察することに成功した。

同グループは、これまで困難とされてきた、生きたまま胚形成中の細胞を追跡できる手法を確立。脊椎動物の生命の初期段階である胚細胞で起こる細胞分裂は、細胞分化が比較的進んでから起こる体細胞分裂とは違う仕組みであることが判明した。胚細胞の発生過程を詳細に解明していくことで、将来的にはヒトの不妊症の診断・治療法開発にもつなげたい考え。

胚細胞の分裂を観察する例としてはカエルの胚発生があるが、細胞に色がついているため内部が見えない。分裂の段階ごとに薬品を加えて固定するため、死滅した細胞をみていくという難点があった。

そこで、清光准教授らは細胞を生きたまま観察する方法を模索。まず材料として透明な胚細胞をもつ魚類の中から、ミナミメダカに目を付けたという。

ミナミメダカは毎日卵を産むため、観察資料が得やすい。また、ゲノム編集に適した小さなゲノムサイズを持ち、生存できる温度範囲も広く、室温で長時間生きたままの細胞を観察できる。そこでゲノム編集技術を使って遺伝子組み換えメダカを作製し、その胚細胞の分裂の仕組みが観察された。

Untitled design

観察手法としては、植物の成長動画などで使われるような、一定時間をあけて撮った写真を集めてコマ送り動画にしたタイムラプス撮影を企画。3分間隔で一つの胚細胞が数千の細胞に分裂する、約10時間の写真が撮影された。

確認されたタイムラプス撮影の動画では、体細胞分裂で見られるのと同様に中心体から糸のようにタンパク質繊維が伸びるのに加え、細胞の中心に染色体が並んだ付近からも繊維が伸びていた。この現象には染色体の周囲で生成されているRan-GTPが関わっていることが分かった。

また、体細胞分裂で確認されている、染色体が分離前に正しく整列しているかチェックするシステムが無いことも判明した。それにもかかわらず「ミナミメダカの胚細胞は早く分裂が進むなかでも、染色体の分離が非常に正確」といい、清光准教授は、「胚で染色体が均等に分かれる複雑なプロセスを理解する研究を進める上で役立つ」と期待を示している。

今後はミナミメダカの胚細胞の分裂の仕組みが、ヒトを含めた脊椎動物で一般化することが可能か検証し、最終的にはヒトの胚発生の理解につなげていきたいという。同研究は名古屋大学や国立遺伝学研究所などと共同で行われ、英オンライン科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に2月掲載されている。

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Top Image : © 沖縄科学技術大学院大学

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