No.500

2021.11.19

世界最高レベルのエネルギー変換効率を持つ、軽量・柔軟な太陽電池

フィルム型ペロブスカイト太陽電池 by 東芝

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概要

「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」とは、塗布型・薄膜型の有機系太陽電池をフィルム状にした次世代型の太陽電池である。現在主流の結晶シリコン太陽電池では、重量および形態の面から設置場所が限られているが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池は軽量かつ曲げることが可能なため多様な場所に設置できる。一方で製造工程の複雑さや効率性に課題があったため、東芝は新たな成膜法を開発することで効率的な生産プロセスと高いエネルギー変換効率を実現した。現在、実用化に向けてさらなる大面積化とエネルギー変換効率の向上を目指しており、カーボンニュートラル社会への貢献が期待される。

なぜできるのか?

世界最高のエネルギー変換効率

世界最大サイズを維持しながら、成膜プロセスの高速化とエネルギー変換効率の向上に成功。エネルギー変換効率15.1%は、現在普及している多結晶シリコン型の太陽電池のエネルギー変換効率に相当する。

軽量薄型で曲げられる

従来は設置ができなかった強度の弱い屋根やオフィスビルの窓など多様な場所に設置可能。エネルギー変換効率15.1%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、東京都23区内の建物の屋上および壁面の一部に設置した場合、原子力発電所2基分の発電量に相当する。

新たに開発した成膜法

従来、2段階で行っていたペロブスカイト層の成膜を、新たに開発した成膜法により1段階で行っている。2ステッププロセスでは成膜プロセスの高速化とペロブスカイト層組成の均一化に課題があった。しかし、インク・成膜プロセス・装置の開発を行うことで、大面積に均一塗布することが可能な1ステッププロセスの成膜技術を確立し、成膜プロセスの短縮を実現した。

相性のいい産業分野

環境・エネルギー

従来は設置できなかった建物や都市部へ場所を選ばず普及できることによるカーボンニュートラルの実現

流通・モビリティ

航空機や車の曲面ボディに設置することによる自家発電モビリティ

住宅・不動産・建築

屋根や壁全面に太陽電池が設置された完全自家発電の住宅や公共施設

農業・林業・水産業

電力の供給が難しい農地や僻地における高効率な電力インフラとして使用

生活・文化

「発電できる日傘」など、身近なプロダクトの意匠へ応用

スポーツ

炎天下のスタジアムにおける持続可能な冷却システム

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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