No.546
2021.12.28
高画質撮影が可能な、0.5mm四方の超小型カメラ
塩粒サイズのマイクロカメラ
概要
「塩粒サイズのマイクロカメラ」は、0.5㎜四方の超小型カメラ。従来のマイクロカメラでは鮮明な画像の撮影が困難だったが、「メタ表面(メタサーフェス)」と呼ばれる光学技術を導入することで、一般的なサイズのカメラと遜色ない画質のフルカラー画像の撮影が可能になった。また、このメタ表面は標準的な半導体の製造方法と互換性のある窒化ケイ素をベースに作製されており、従来のカメラ用レンズよりも低コストで大量生産が可能。今後は病気の診断などに利用される医療用ロボットの目に利用や、胃カメラや内視鏡に利用したり、脳イメージング(脳の活動の測定)に活用するなど、その極小サイズを生かした多方面での活用が期待されている。
従来のマイクロカメラの画像(左)と塩粒サイズのマイクロカメラによる画像(右)
なぜできるのか?
「メタ表面」で通常サイズのカメラ同等の画質を実現
本小型カメラには「メタ表面(メタサーフェス)」という光学技術を採用。カメラ内部に埋め込まれた約100ナノメートル(HIVウイルスと同等のサイズ)の円柱160万本の構造が、カメラに入る光の波を制御して光波面全体をとらえることで、通常サイズのカメラレンズと同等に鮮明なフルカラーの画像を撮影できる。なお、この円柱は光アンテナのように機能するように、1つ1つ異なる形状に最適化されている。従来のメタ表面を使用したカメラは、高画質で撮影するために、光量を人工的に整えた環境や実験室など特殊な環境下でレーザー光を必要としたが、このマイクロカメラでは、メタ表面が十分な精度で画像を生成するように円柱のモデルが作成されているため自然光でもパフォーマンスの高い撮影が可能。
サイズを生かした撮影に実用
非常に小型であることから、疾病を診断・治療する医療用ロボットを用いた内視鏡検査や、大きさや重量に制限のあるロボットに搭載や、脳イメージング(脳の活動の測定)への活用など、極小サイズを生かした多方面への実用化が期待されている。また、このカメラ複数台を物体表面に分散配置することによって、新しい形の撮影が可能になる。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© Princeton University