No.749
2022.08.18
視線で文字入力・音声読み上げができる意思伝達装置
OriHime eye+Switch(オリヒメアイ プラス スイッチ)
概要
「OriHime eye+Switch(オリヒメアイ プラス スイッチ)」とは、眼や指先のみが動かせる重度障がい者向けの意思伝達装置。視線を利用した「視線入力」と、スイッチ入力で縦横のバーを操作し文字を選択する「スイッチ入力」からの入力が可能で、入力した文章は合成音声で読み上げできる。従来、重度障がい者とのコミュニケーションは、透明文字盤を用いて、介助者が重度障がい者の目の動きから文字を読み取りコミュニケーションを取る方法が一般的だったが、介助者の助けが必要かつ、一文字ずつ反応を確認しながら行うため伝達に時間がかかるといった課題があった。一方「OriHime eye+Switch」は介助者に頼らず障がい者自身で意思伝達でき、慣れれば1分間に30~40文字前後の入力が可能。メールや文書の入力もでき、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの重度障がい者の社会参加をサポートするツールとして期待されている。
実現事例 実現プロジェクト
ALL PLAYERS WELCOME
「ALL PLAYERS WELCOME」は、従来のツールを基に身体性により表現を拡張するオリジナル操作UIの開発、無償提供を行うプラットフォーム。第一弾プロジェクトとして、ALSの難病を抱えながら活動するアーティストの武藤将胤氏、コンポーザーのPONE氏による、目の動きで操作されるライブ演奏ツールを開発した。目の動きだけでエフェクトやシンセサイザーをリアルタイムで操作できる演奏装置「EYE XY PAD」、リアルタイムで音楽トラックを操作するUI「EYE MIDI PAD」、異なる地点での生演奏時に発生する通信遅延の問題を解消する遅延対応リモート演奏装置「SHOOTING PAD」の3種からなり、「EYE XY PAD」と「EYE MIDI PAD」は、視線で文字入力ができる「OriHime eye(オリヒメアイ)」が活用されている。
なぜできるのか?
センサーによる視線検知
「視線入力」モードでは、視線センサーを使用。ユーザーの目の動きを検知し、視線操作によるリアルタイムでの会話を実現する。
カスタマイズ可能なインターフェイス
ユーザーは、スクロールのスピードやクリックの時間、文字盤表示の拡大縮小などを調整可能。また、オリジナルの文字盤やよく使う言葉を登録できるなど、ユーザーの状況に合わせてインターフェイスをカスタマイズできる。
分身ロボット「OriHime」との連携による機能拡張
「OriHime eye+Switch(オリヒメアイ プラス スイッチ)」は、“存在感の伝達”をコンセプトとする分身ロボット「OriHime」との連動が可能。インターネット経由で「OriHime」を動かすことができ、「あたりを見回す」「手を挙げる」といったジェスチャーによる遠隔者とのコミュニケーションや、「OriHime」の目に内蔵されたカメラによる写真撮影が可能になる。
音声合成テクノロジーで実現する豊かなコミュニケーション
「OriHime eye+Switch」は、「コエステーション」「ボイスター」「マイボイス」といった外部の音声合成テクノロジーとの連携が可能。事前に自分の声を発話し、音声合成プラットフォームで学習させておくことで、ユーザー自身の声を元にした合成音声での読み上げが可能で、音声読み上げは「嬉しい」「怒る」「悲しい」などのボタンから感情を選ぶことで、より細かく気持ちの表現が可能になる。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
意思伝達の難しい難病を抱える人との円滑なコミュニケーションを実現
- 生活・文化
手が塞がっていても視線で操作できるウェアラブルデバイス
- アート・エンターテインメント
手の不自由な人が視線で絵を描けるペイントツール
- 製造業・メーカー
視線で入力でき、難病を抱える人でも文書作成できるオフィスツール
- 医療・福祉
入院やリハビリ中でも視線で文字入力できるデバイス
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top images:© 株式会社 オリィ研究所