No.1002
2024.12.12
自閉症の人が見ている世界を疑似体験できるプログラム
自閉症体験VR™
概要
「自閉症体験VR™」(ASDVR)とは、自閉スペクトラム症(ASD)の人が見ている世界を一人称視点で疑似体験できるプログラム。ASDの子どもの日常生活の一部を再現したVRコンテンツを通じて、物の見え方や音の聞こえ方、周囲からの対応などを自分の五感で体験できる。発達障がいの1つであるASDは脳のメカニズムの特性で、関連知識があっても「なぜそういう行動をとるのか」などが分かりづらいため、本人の感覚を疑似体験できるプログラムを開発した。感覚過敏や過集中など、生活を送る上での悩みや大変さを体感できる。医療・福祉・教育・企業など様々な領域でASDへの理解を深め、共存し合える社会づくりに寄与すると期待されている。
なぜできるのか?
オリジナルの「VR体験プログラム」の開発
「VR体験プログラム」を独自開発しており、VRコンテンツでASD当事者が見ている世界の一部を疑似体験できる。ASDの男子児童が学校で授業を受ける設定で、5分程度のコンテンツを制作。制作にあたっては、医師の監修や当事者からのアドバイスを受けながら進めた。VRコンテンツでは、教師と他の児童の会話やチョークで文字を書く音が同時に聞こえたり、蛍光灯の光や音を過度に感じたりと過敏な感覚を再現。花瓶の花など一点に気を取られて集中できない様子なども体感できる。VRヘッドセットがあれば手軽に利用可能。7歳以上から大人まで幅広い年齢層で疑似体験できる。
体験会の企画・開催
「VR体験プログラム」を用いた「VR自閉症体験会」を企画し開催している。VRコンテンツを体験する前に、ファシリテーターが発達障がいの概要説明を実施。体験後にはコンテンツのシーンごとに、ASDの人が困難を感じる点や環境を整える方法などを解説する。併せて、症状や感じ方が人によって異なるASDの特徴をふまえ、コンテンツ内容以外のあらわれ方の可能性も説明し、ASDへの理解を深める。これまで、医療・福祉関係者や地域の子どもたちなどが体験会に参加しており、「困難な状況がわかった」「どう接したらいいか考えるきっかけになった」などの声が寄せられている。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 自閉症の理解を広める活動実行委員会