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2023.09.08

知財ニュース

Google DeepMind、AI生成画像を識別できるツール「SynthID」発表―人間の眼では判別不能な透かしを埋め込み

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米Google傘下のGoogle DeepMindは現地時間8月29日、AIが生成した画像に人間の眼では知覚できない電子透かしを埋め込み、その識別が可能なツール「SynthID」を公開した。

Google Cloudと連携し、AI開発プラットフォーム「Vertex AI」内の、テキストから画像生成を行うモデル「Imagen」に、「SynthID」のベータ版を搭載。まずはImagenユーザーを対象に提供していくという。

「SynthID」は、Imagenが生成した画像のピクセルを特定して電子透かしを埋め込むことと、画像を分析してImagenで生成されたかどうかの評価ができるという。透かし用と識別用の2つのディープラーニングモデルを搭載し、それを実現している。具体的な使用方法などは明らかにされていない。

特徴は、画像のピクセルへ直接、人の眼では捉えられない電子透かしを埋め込む点にある。

従来の電子透かしは、画像表面にスタンプするようなタイプが多く、トリミングやリサイズなどの編集で削除でき、画像識別には不十分だった。また、画像の上部に表示されるような可視性の高い透かしは、作品の世界観を損なうという懸念もあった。

そこでGoogle DeepMindは、画質や作品に影響を及ぼさずに透かしを埋め込み、容易に編集・削除できないツールとして「SynthID」を開発。さらに、Google Researchと提携して改良を重ね、今回の発表に至ったという。

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「SynthID」は同日、Google Cloud主催のクラウド関連の年次イベント「Google Cloud Next」中でも、Vertex AIの追加機能の1つとして発表された。Vertex AIは、データ取り込みからモデル構築、実装までを一貫して実行できるフルマネージドの機械学習プラットフォームで、Google Cloudが注力するプロダクトの1つだ。

イベントでは、プラットフォームで利用できる大規模言語モデル(LLM)として、Metaの「Llama 2」など複数モデルを追加することや、独自LLM「PaLM 2」の機能拡張、Imagenの機能追加などが発表され、その1つとして「SynthID」が紹介された。

米国では2023年7月に、政府とAI開発を手がける主要7社が会談。AIが生成したコンテンツに透かしを入れることを含む、生成AIの開発・展開に関するルールが合意された。Googleもその場に参加している。

Google DeepMindは、今回の取り組みを、責任あるAI開発・導入のアプローチに基づくものと位置づけており、そうした流れを受けたものと見られる。

同社はまた、Google Cloudは、AIの画像生成に責任を持ち、識別可能なツールを提供する、初のクラウドプロバイダーになるとも言及。今後は、より多くのGoogle製品への搭載を目指しており、その先にサードパーティーへの展開も見据えている。

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Top Image : © Google DeepMind

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