No.568
Sponsored
2022.02.17
現実空間に全方位映像を映し出す投影装置
WARPE(ワープイー)
概要
「WARPE(ワープイー)」とは、裸眼のまま見ることができる全方位立体映像を現実空間に映し出す装置。独自開発の特殊回転スクリーンと投影技術により円柱のショーケース内に立体映像を投影させ、上下左右あらゆる方向からの鑑賞を可能とする。従来の立体映像はスマートグラスや専用のヘッドセットを通して立体映像を見るものが大半だったが、WARPEではユーザーは裸眼のまま、自由に視点を変えながら立体映像を見ることができる。リアルの場にメタバースを出現させる新しい体験として、イベントやプロモーション、ショールームなどでの活用が期待されている。
なにがすごいのか?
特殊な回転スクリーンと投影技術で現実空間に完全立体映像を投影
グラスデバイスなしで全方位からの鑑賞が可能
独自の画像処理アルゴリズムで高精細なカラー映像を創出
なぜ生まれたのか?
「WARPE」は、リコーの新規事業創出プログラム「TRIBUS(トライバス)」から生み出された技術。XR(複合現実)の体験において出力デバイス側の選択肢が少ないことに着目し、同プログラムに参加するチームの一つが提案した。開発には光学や電子工学、ソフトウェアなど社内の技術者らが知見を持ち寄り、1年半ほどかけて開発した。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
3Dのバーチャルギフトを贈り合える、未来のECサイト「V-Gift」
WARPE(ワープイー)が一般家庭にも普及された未来では、3D映像データの売買と譲渡が可能となるバーチャルギフトECサイト「V-Gift(ブイギフト)」が生まれているかもしれない。
サイトにはメディアアートを保有する企業やデジタルアーティストによる3D作品が一覧となっており、ユーザーはサイト内で3Dデータの売買のみならず、第三者に保有するデータを「贈る」ことが可能となる。従来の3Dデータのマーケットはあくまでメタバース空間内での売買や交換にとどまっていたが、投影システム「WARPE」と組み合わせた本サービスが登場すれば、現実世界にメタバース上のデータや作品を再現し鑑賞することがスタンダードとなるだろう。
さらにソーシャルネットワーク機能を拡充していくことで、「V-Gift」はECサイトの枠を超えてデジタルアーティストたちの作品を発信して交流するプラットフォームとしても発展していくことも期待ができる。
なぜできるのか?
回転スクリーンを用いた体積走査型装置
「WARPE(ワープイー)」は円筒形の体積走査型装置で、投影装置の上に回転型のスクリーンが設置されている。投影装置の真下から回転するスクリーンに向けて光を投射することで、光の残像を応用して立体映像を映し出す。コンテンツは、一般的な3Dモデリングデータをもとに作成でき、独自の変換をかけることで映し出すことが可能となる。
完全立体表示を実現
三次元酔いを起こさずに、現実空間に実在するように見せる完全立体表示にこだわって開発されており、映像は現時点で約3.7億ボクセル(三次元像を構成する画素の数)のカラー動画立体表示を実現(参考:フルハイビジョンの平面映像では二次元像を構成する画素の数は約207万画素)。立体のため、断面ではハイビジョン相当の画素が並ぶが、手前や奥にも画素が配置されるため肉眼ではより高画質に見え、人の頭のサイズ(直径200mm/高さ250mm)での立体映像のカラー動画表示を実現している。
デジタルコンテンツを用いたコミュニケーションに活用
開発元であるリコーは本投影技術による立体映像の認知度拡大と市場性の検証をするため、デジタルサイネージ用途で2021年3月から「WARPE」ブランドとしてビジネスパートナーを募り市場探索を開始。試作機による実証実験や試験的な稼働を始め、2022年度中の実用化を目指す。将来的には、働く場における立体映像によるリモート会議や立体構造物のシミュレーション、教育分野における立体構造把握支援、エンターテインメント、家庭用バーチャルアシスタントなど、幅広い用途での活用が期待されている。
相性のいい産業分野
- メディア・コミュニケーション
店舗やショールームに設置することで商品やバーチャルアシスタントを3D投影
- 製造業・メーカー
現実世界にゲームのモンスターを立体映像で実現させる「ソリッドビジョンシステム」
- 住宅・不動産・建築
建物を建てる際の3D建築図面としてシュミレーションやモデリングに使用
- 食品・飲料
自動販売機やレストランの商品サンプルをデジタルサイネージ化
- アート・エンターテインメント
3Dデジタル作品に特化した美術館やコンペティションの開催
- 生活・文化
思い出の品や、家族や故人など大切な人の姿を3Dスキャンしてデジタルアーカイブ
- IT・通信
自宅で動物が飼えない人のための、立体映像システムによるデジタルペット
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。
Top Image : © 株式会社 リコー
※製品名・組織名は記事作成時点(2022年2月)のものです。