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Tech Direction Awards受賞作品

2024.08.27

レポート

「第1回 テクニカルディレクションアワード」の受賞作品が決定―テクニカルディレクションの優秀な18作品を表彰

一般社団法人 テクニカルディレクターズアソシエーション

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テクニカルディレクションの優秀なプロジェクトを表彰するアワード「Tech Direction Awards(テクニカルディレクションアワード)」が今年から本格始動し、2024年8月23日「第1回 Tech Direction Awards(テクニカルディレクションアワード)」の受賞式が開催され、約150の応募数の中から栄えある第1回の受賞作品が決定した。

受賞発表および授賞式の会場となったのは、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの8階に位置する新施設「TOKYO NODE LAB」。受賞者にはNFTトロフィーおよび記念品の受賞パネルが贈られ、また、授賞式の様子はYouTubeで生配信された。(授賞式の様子はこちら・YouTube配信アーカイブ

本記事では、授賞式の様子と受賞作品を順に紹介する。

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TDAaward torophy 各賞に授与されたNFTトロフィー

Digital Product 部門

※GOLD該当なし

Silver賞 HHKB Studio/株式会社PFU

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Digital Product 部門 Silver受賞となったのは、革新的なAll-in-Oneタイプのキーボード「HHKB Studio」。コンパクトキーボードのパイオニア・HHKBのミニマルな合理的キー配列を継承しながら、ポインティングスティックとジェスチャーパッドの機能を搭載し、発売前後にはSNSで大きな反響を呼んだことも記憶に新しいキーボードだ。

〈審査員コメント〉
ポインティングスティックやジェスチャーパッドの機能がある製品は以前からあるが、新しいジャンルの挑戦だった。技術の模索や選定がゼロから行われ、製品化や実用化に際しては、多くの技術的判断や生産面での検討が重ねられたプロジェクトだと思います。

Silver賞 Neo Chinese Pattern/太古汇(广州)发展有限公司、乃村工藝建築装飾(北京)有限公司、乃村工藝社

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DSC03357 s テクニカルディレクターズアソシエーション 発起人の森岡 東洋志氏(左)と、乃村工藝社

Digital Product 部門 Silver受賞二つ目は、中国 広州太古汇内に新しく誕生したイノベーションラウンジのファサードデザイン「Neo Chinese Pattern」。独自開発したプログラムで文様を自動生成し、立体的に透け感のある新たなタイルの可能性を模索している。風土、文化を継承しながら、新たな創造性を想起させ、セラミック3Dプリントの建材としての可能性を拡張する試み。

〈審査員コメント〉
3Dプリントと中国の伝統的な釉薬を組み合わせた製法は作り方として非常にユニークであり、今後さまざまなデザインに応用できる可能性を感じました。

Bronze賞 nadeXnade 頭部装着型触覚デバイス/株式会社ジンテクス

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Digital Product 部門 Bronze受賞は、VR用ヘッドマウントディスプレイと組み合わせて装着するハプティクスデバイス「nadeXnade」。ソーシャルVR空間内で他者から頭部を撫でられた際、手の動きに合わせた接触データを無線通信によりデバイスへ送信し、振動という形で実際の頭部にフィードバックさせる。

〈審査員コメント〉
極めて少人数のチームであると予想されますが、外装、電子回路や部品、Unityのプラグインといった広範な技術分野にわたる製品を開発し、さらにそれをオンラインで常時出荷可能な状態にしている点にテクニカルディレクションの行き渡りを感じました。

R&D / Prototype部門

Gold賞 AI Olfactory Sensor/シャープ株式会社

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DSC03391 s 謝辞を述べた、アベシンゲレシヤン マドゥカ氏(シャープ株式会社)。

R&D / Prototype部門 Gold受賞は、「AIに嗅覚を授ける」をコンセプトとする“においセンサー”「AI Olfactory Sensor」。ディスプレイ技術を活用した独自の「においセンサー」で、見えないにおいを画像化し、AIの画像処理技術を組み合わせることで複雑なにおいの判別が可能になった。この技術によって嗅覚の仕組みを再現することで、品質管理、状態把握など様々な分野に応用できるとされている。

〈審査員コメント〉
液晶ディスプレイの量産技術や装置の転用、プラズマ放電技術を用いた匂い分子のイオン化といった自社の強みを掛け合わせ、自社にとって新たな事業領域である嗅覚センシングのプロトタイプを実現したチャレンジが評価されました。

〈受賞コメント〉
私たちの目標は、匂いの特定をより客観的にすること。 人間の目を模倣するセンサー(例:カメラ)は一般的だが、嗅覚を模倣するセンサーは少ないです。ユニークな画像から匂いを認識することが、QRコードをスキャンすることと同じくらい簡単になる世界を想像しています。(アベシンゲレシヤン マドゥカ氏/シャープ株式会社)

Silver賞 テクノロジーによるマテリアルの拡張/株式会社博展、川原製作所

05 テクノロジーによるマテリアルの拡張

R&D / Prototype部門 Silver受賞は、伝統工芸であり、サステナブルマテリアルである和紙を、テクノロジーの力で拡張する試みの「テクノロジーによるマテリアルの拡張」プロジェクト。構成物質が全て天然由来であり土に還るマテリアルである和紙に着目し、テクノロジーとデザインの境界がない表現を目指しディスカッションや実験を重ねた。富山で和紙制作を行う和紙職人の川原氏ともコラボレーションし、川原製作所にて様々な和紙のプロトタイプ制作を行った。

〈審査員コメント〉
エンジニアが職人からマテリアルの作り方を学び、実際に手を動かして理解を深め、自ら作ることを通じて行ったプロトタイピングプロセスが評価されました。

Bronze賞 コンピュテーショナル食感デザインプロジェクト/高次素材設計技術研究舎 -Melt.、Byte Bites inc.

06 コンピュテーショナル食感デザインプロジェクト

R&D / Prototype部門 Silver受賞は、デジタルファブリケーション技術とコンピュテーショナルデザインを組み合わせた新しい食感・食品生成プロセスを発明するための試み「コンピュテーショナル食感デザインプロジェクト」。触覚やコンピュテーショナルデザイン、自然言語処理、機械学習、デジタルファブリケーションなど多分野の知見との横断的な議論、プロトタイプを通じて「オノマトペを食べること」が当たり前に存在する世界を目指している。 
本プロジェクトでは対話的に食感をデザインし、実食するという調理におけるデザインプロセスとしての食感デザインを誘発するための食感ジェネレータを制作した。

〈審査員コメント〉
食感デザインをマルチモーダル的に捉え、オノマトペ表現の言語ベクトル化や食感要素パラメータのアルゴリズム化によるCAD連携など、多角的な深掘りを組み合わせたシステムを構築。コミュニティベースでの持続的な活動となっている点も含めて評価されました。

Digital Service部門

Gold賞 ODYSSEY/Praxinos

07 ODYSSEY

sub19 s Fabrice DEBARGE氏/Praxinos

Digital Service部門 Gold受賞は、汎用性の高い 2D/3Dアニメーション制作ソフトウェア「Odyssey」。市場で最もパワフルなリアルタイム 3DテクノロジーであるUnreal Engine をベースに開発されており、3Dアニメーションも使用可能。2Dと3Dをミックスした高品質なアニメーションを制作したい意欲的2Dプロダクションに最適なツール。

〈審査員コメント〉
リアルタイムレンダリングによる迅速なフィードバックを可能にし、アイデアを即座にビジュアル化できる革新性が評価されました。

〈受賞コメント〉
テクニカルディレクションアワードの募集があることを伝えてくれた日本の関係者にも感謝しています。今後、「Odyssey」をお見せするために、日本の様々な2D、3Dアニメーションスタジオで皆さんとお会いするのが待ち遠しいです。(Fabrice DEBARGE氏/Praxinos)

Silver賞 Live Multi Studio (LMS)/株式会社TBSテレビ、株式会社WOWOW

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Digital Service部門 Silver受賞は、映像・音声・制御信号伝送ソフトウェア「Live Multi Studio (LMS)」。TBSテレビとWOWOWが、映像制作現場で求められる機能・品質を備えた伝送プロトコルだ。
伝送の超低遅延性(インターネット通信で最速0.1秒未満の遅延を実現)を強みに、遠隔から番組制作を行うインターネット経由でのリモートプロダクションをストレスなく実現。超低遅延なモニター環境構築、カメラのリモートコントロール用制御信号の送受信などをLMSで一手に担う。『世界陸上オレゴン』、テニスの国際大会『男子テニス国別対抗戦デビスカップ』等のスポーツ中継で利用実績を重ねている。2024年3月1日より、一般ユーザーも使いやすいソフトウェアとして提供を開始した。

〈審査員コメント〉
複数台接続やポート開放不要など、配信現場のニーズに沿った設計を織り込み、レベルの高いディレクションをしている点が評価されました。

Bronze賞 World Maker/株式会社集英社、株式会社カヤック

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Digital Service部門 Bronze受賞は、ジャンプ+から生まれた「World Maker」。絵が描けなくても、パーツを組み合わせるだけで映像コンテや漫画ネームを簡単につくることができる。
漫画ネームは、4〜5ステップで制作可能。脚本を書いてコマ割りを決めたら、表情やポーズなどを自由に変えられるカスタムキャラ、背景、ふきだし、オノマトぺ、さらには「いらすとや」などの素材を自由に組み合わせて装飾することで、簡単に世界で一つだけの漫画ネームが完成する。
さらにアプリ版では映像コンテの制作や、ワンタップで自動翻訳できるなど豊富な機能が追加。映像コンテは静止画だけでなく動画にすることも可能。セリフの自動読み上げ機能やカメラワークを自由に設定できる。

〈審査員コメント〉
簡単に漫画のネームを作成できるよう、多様なプリセットが豊富に用意されており、UIの工夫も印象的だった。定期的なコンテストの開催や充実した学習コンテンツの提供など、さまざまなチャネルでの継続的な投稿実績も高く評価された。

Website / App部門

Gold賞 PERFECT DAYS 公式サイト/MASTERMIND

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Website / App部門 Gold受賞は、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースと日本を代表する俳優 役所広司の美しきセッション、「映画 PERFECT DAYS 公式サイト」。映画の主人公“平山”は、毎日同じ時間に目覚め、同じように準備をし、同じように働きにでる。でも彼はそれを毎朝、新しい1日として満たされた感情のなかで行う。映画はそのルーティンを丁寧に描き、やがて起きるいくつかの出来事によって生まれる揺らぎを物語にする。そして、その小さな揺らぎ、まるで木漏れ日のようなもの、がいかに美しいか映画は教える。

映画が男の12日間を表現するなら、それ以外のルーティンに守られた353日を表現しようと生まれた。視覚・聴覚・触覚のすべてを刺激して、その日々に生まれる変化を感じるもの。文章を読みながらスクロールしていくと、聞こえてくるその世界の音が変化し、目にするもの言葉や映像のすべてが朧げな記憶のなかに溶け込んでいく。1日が終わるとまた別の日が始まるループ構造になっている。徹底的にデザインされ融合していく音と文字。単なる映画のパンフレットとしての役割を超えて、映画そのものを補完・アップデートする、Webならではの体験を目指した。

〈審査員コメント〉
特にカーニング調整というウェブ制作現場で開発者とデザイナーの溝が生まれやすい課題を独自ツールで解決し、今後のウェブサイト制作に新たな一石を投じています。

〈受賞コメント〉
私は細々とWebサイトだけをひたすら作ってきています。それは脇目も振らずというよりは、周りを見渡して、いつも他の分野の方々から刺激をもらっています。なので、テクニカルディレクションという括りで、いろんな方々とこうして表彰いただいているのはすごく光栄に思います。(岡部 健二氏/mount inc.)

Silver賞 au × 屋根裏のラジャー MEET YOUR IMAGINATION/KDDI株式会社

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Website / App部門 Silver受賞は、スタジオポノック協力のもと、映画『屋根裏のラジャー』さながら自身の「イマジナリ(想像の友達)」を創作できる生成AIコンテンツ「au × 屋根裏のラジャー MEET YOUR IMAGINATION MYイマジナリーメーカー」。自身の「イマジナリ」の姿をイメージし、「見た目」をテキスト入力し、「性格」「一緒にやってみたいこと」を選択するだけで『屋根裏のラジャー』およびスタジオポノックの作品を学習したAIがキャラクター画像を生成する。
創作したキャラクターの画像をダウンロードしSNSでシェアすることや、AIが生成したオリジナルキャラクターに名前を付けてコンテンツ内に保存することも可能。

〈審査員コメント〉
ユーザー体験の最大化、堅牢なインフラ設計に加え、生成AIを取り巻く論争が激しい時代に、技術的なアプローチと非技術的アプローチの両面からリスクに対応するテクニカルディレクションが評価されました。

Bronze賞 Cotomo/Starley株式会社

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Website / App部門 Bronze受賞は、日常会話に特化し、ユーザーとの会話を通じて成長する音声会話型AIアプリ「Cotomo」。音声と会話スピード、AIの名称を自由に変更可能で、よりパーソナライズされた会話を体験できる。また、アプリ上ではAIとの会話履歴を記録し、過去のやり取りを振り返ることができる。
独自開発を行ったAIの音声においては、全く同じ言葉でも、ユーザーの発言に影響されて異なる話し方となる。さらに、ユーザーの相槌を認識し、AIからも適切なタイミングで相槌を打つことで、ユーザーの次の発話を自然と促すことができるようにした。

〈審査員コメント〉
これまでのAIでは実現し得なかった「AIとの自然な音声対話」を実現し、相槌、レイテンシー、タイミング、声、会話内容など、AIとの対話において真に重要なユーザー体験にフォーカスしたテクニカルディレクションが評価されました。

Digital Experience部門

GOLD受賞 Bouncing with MOTION & CONTROL/日本精工株式会社(NSK)

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Digital Experience部門 Gold受賞は、日本精工株式会社(NSK)の「Bouncing with MOTION & CONTROL」。「Bouncing」をテーマに、機構・制御システム設計、最終的な動画やグラフィックの制作が行われた。映像では、あらゆるものに「MOTION & CONTROL」を提供するNSKが、その素早く緻密な動きを駆使し、未来へと飛び出す様を、NSK独自の機構を用いて表現している。

〈審査員コメント〉
プロトタイプ制作から、それを実現する技術力、最終的なアウトプットの美しさまで、すべての過程において高いテクニカルディレクションが評価されました。

〈受賞コメント〉
本作品には様々なディレクションが入っており、NSK、Takram、siro、そしてSPLINE DESIGN HUB、皆が足並みを揃えて、今回の映像作品が生まれました。プロジェクトの裏側は、Takramのホームページ、NSKのホームページで見ることができるのでぜひご覧ください。(櫻井 稔氏/Takram)

SILVER受賞 Honda Dream Loop AI/本田技研工業株式会社

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Digital Experience部門 Silver受賞は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」のホンダブースに画像生成AIを使った体感型企画の「Honda Dream Loop AI」。
ホンダのテーマ「Honda DREAM LOOP」のもと、ホンダが夢をかたちにしたモビリティを開発することで、顧客の夢もまた多様に広がっていくことを表現。この言葉を体現した企画として、ブースを訪れた人が「自身の夢」を言葉で入力すると、AIが「夢を叶えるモビリティの設計図」の画像を生成する体感型企画。生成した設計図や入力された言葉は、カードや画像データとして持ち帰れるようにしたほか、ブース造作のLEDやプロジェクションにも投影されブースを彩った。

〈審査員コメント〉
ユーザーの夢を具現化するために生成AIを用いるリスクへの対応と、それらを克服したうえで、空間全体を巻き込んだ高品質なアウトプットが評価されました。

Bronze賞 自在肢/東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 稲見・門内研究室、東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 山中俊治研究室、株式会社スプラインデザインハブ

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複数の自在化身体間のインタラクションを探るためにデザインされた「自在肢」は、6つのターミナルを持つベースユニットと、装着者が制御可能な着脱式ロボットアームからなるウェアラブルシステム。自由自在に身体をデザインできる自在化身体の実現例であるのみならず、複数の装着者間での腕の「贈与」「交換」などの社会的インタラクションを可能とする実験的作品。

〈審査員コメント〉
機能面もデザイン面も妥協できない中、専門性の高い知識を駆使したテクニカルディレクションによって、デザイナーや機械設計者だけでは成し得なかった機能とデザインを実現した点が評価されました。

Special Prize|特別賞

コミュニティ賞 デジタルツイン環境を活用した都市を拡張するAR体験プロジェクト/森ビル株式会社

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Special Prize コミュニティ賞は、新しい都市体験を創出する「TOKYO NODE LAB」の最初の共創プロジェクトとして実施された「デジタルツイン環境を活用した都市を拡張するAR体験プロジェクト」。
ユーザーに最先端のAR体験を提供するためのアプリ「TOKYO NODE Xplorer」と、開発者に高精細なデータや開発環境を提供して実施したXRハッカソン「TOKYO NODE "XR HACKATHON" powered by PLATEAU」の2つを実行し、来街者からクリエイターに至るまでを対象に、様々なアプローチで都市体験を拡張した。

〈審査員コメント〉
新しい都市体験を創出するためのクリエイティブエコシステムとして、コンテンツの発信にとどまらず、テクニカルコミュニティの形成までを目指されており、今後のテクニカルディレクションに寄与するプロジェクトとして評価されました。

共創賞 壁紙AI識別アプリ「かべぴた」/コマツ株式会社、同志社大学 理工学部インテリジェント情報工学科 知的機構研究室

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Special Prize 共創賞は、壁紙AI識別アプリ「かべぴた」。壁紙の特定は、見本帳を何冊も使用し、目視で品番を割り出す作業は、建築業界全体を長年悩ませ、他の多くの建材でも同様の課題を抱えている。コマツ株式会社は、同志社大学 理工学部インテリジェント情報工学科知的機構研究室と産学連携を開始。膨大なデータ学習と試行錯誤を繰り返し、形や色だけでなく、テクスチャ(素材)の質感や凹凸まで解析できるAI「自動テクスチャ識別プログラム」(特許出願中)を開発した。
数時間かかった識別作業が数秒で完了し、メーカーと品番を迅速に特定できるようになった。

〈審査員コメント〉
大学と企業という、扱う技術のフェーズやアプローチが異なる2つの組織が共通のゴールを目指す際に、その通訳としてテクニカルディレクターの果たす役割は非常に大きい。新しい技術の社会実装を目指すこのような産学官連携プロジェクトを全面的に応援していきたい。

ナレッジシェア賞 時のしずく/セイコーウオッチ株式会社

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Special Prize ナレッジシェア賞は「時のしずく」。機械式腕時計の正確な音を「心臓」とした、機械式腕時計の正確さによって刻まれる水滴の時間表現装置。SeikoSeed「からくりの森」にて発表された。刻々と生まれる水滴が、時間の経過と共に一つになり溜まっていく。そんな「時を刻むもの」を作ってみようではないかと制作された。

〈審査員コメント〉
プロセスは企業にとっての武器であり、持ち味だったりしますが、受注・チーミング・アイデアアプローチ、そして失敗プロセスまでを言語化し公開されており、クリエイティブの知を共有された側が、次の一歩を踏み出しやすくなっています。シェアの精神に、審査員全員が笑顔になりました!

「第1回 Tech Direction Awards」の初開催に寄せて

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「テクニカルディレクションはあらゆるプロジェクトにあり、業界やプロジェクトのジャンルに依存しない」という信条から、「テクニカルディレクションのアワードは幅広いプロジェクトや作品を扱えるはず」との思いに至り設立されたという本アワード。応募総数は約150ものプロジェクトから応募があり、また、全ての部門の最終審査に全ての審査員が関与する形を取ったという。

発起人の森岡 東洋志氏は、「審査に際して審査員の中で意見が大きく割れて紛糾するようなことはなかった」と述べ、「アワードは継続すればするほど認知が上がり、同時に価値が上がっていく。今回受賞された方々の価値を上げていけるよう、アワードを継続して開催していければ」と抱負を語った。

「第1回 Tech Direction Awards」受賞作品

Digital Product部門(※Gold該当なし

SilverHHKB Studio(株式会社PFU)

SilverNeo Chinese Pattern(太古汇(广州)发展有限公司)

BronzenadeXnade 頭部装着型触覚デバイス(株式会社ジンテクス)

R&D / Prototype部門

GoldAI Olfactory Sensor(シャープ株式会社)

Silverテクノロジーによるマテリアルの拡張(株式会社博展、川原製作所)

Bronzeコンピュテーショナル食感デザインプロジェクト(高次素材設計技術研究舎 -Melt.、Byte Bites inc.)

Digital Experience部門

GoldBouncing with MOTION & CONTROL(日本精工株式会社(NSK))

SilverHonda Dream Loop AI(本田技研工業株式会社)

Bronze自在肢(東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 稲見・門内研究室、東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 山中俊治研究室、株式会社スプラインデザインハブ)

Website / App部門

GoldPERFECT DAYS 公式サイト(MASTERMIND)

Silverau × 屋根裏のラジャー MEET YOUR IMAGINATION MYイマジナリーメーカー(KDDI株式会社)

BronzeCotomo(Starley株式会社)

Digital Service部門

GoldODYSSEY(Praxinos)

SilverLive Multi Studio (LMS)(株式会社TBSテレビ、株式会社WOWOW)

BronzeWorld Maker(企画:株式会社集英社 開発:株式会社カヤック)

Special Prize|特別賞

コミュニティ賞デジタルツイン環境を活用した都市を拡張するAR体験プロジェクト(森ビル株式会社)

共創賞壁紙AI識別アプリ「かべぴた」(コマツ株式会社、同志社大学 理工学部インテリジェント情報工学科 知的機構研究室)

ナレッジシェア賞時のしずく(セイコーウオッチ株式会社)

■ 審査員

大西 拓人(ソニーグループ株式会社 技術戦略部 シニアマネージャー・テクニカルディレクター)

岡田 敦子(株式会社ファブリカ プロデューサー)

荻野 靖洋(株式会社コネル テクニカルディレクター / 株式会社知財図鑑 知財ハンター)

久我 尚美(株式会社博展 テクニカルディレクター)

今 雄一(note株式会社 CTO)

⻄濱 ⼤貴(株式会社 博報堂 テクニカルディレクター)

馬場 鑑平(株式会社バスキュール クリエイティブディレクター)

森岡 東洋志(ベースドラム株式会社 テクニカルディレクター / 一般社団法人テクニカルディレクターズアソシエーション 発起人)

Tech Direction Awards公式サイト
プレスリリース
授賞式の様子(YouTube配信アーカイブ)


知財図鑑では、「Tech Direction Awards(テクニカルディレクションアワード)」の受賞作品を「知財」として捉え、知財図鑑のデータベースに順次登録していきます。受賞作品をまとめた特集記事、審査員を勤めた知財図鑑CTO 荻野 靖洋によるnoteも併せてご覧ください。

note記事:「テクニカルディレクションアワードを通じて見えた「決断」」



取材・文:福島由香
撮影:杉浦万丈、一般社団法人テクニカルディレクターズアソシエーション

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